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運命の出会いから32年! 今や貴重となったシングルナンバー、どノーマル「ビートル」を譲り受けた条件とは?

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

  • シングルナンバーを継続するという前提でこの1200スタンダードを手に入れた
  • オリジナルの状態を保っているシングルナンバーを掲げたスタンダードは貴重
  • 装備も簡素なスタンダードモデルのインテリア
  • 三角窓は開閉できる
  • 内装のコンディションも良好
  • 空冷フォルクスワーゲンのエンジン
  • 最近はイベントに参加する機会も多いというMCハマ男さん
  • シングルナンバーの1200スタンダードとの運命的な出会いを果たす
  • 会場の一角に展示されていたフラットフォー軍団
  • フォルクスワーゲン1200と、オーナーのMCハマオさん
  • 1971年式のスタンダード・モデル

何の変哲もない1971年式のスタンダード・モデルのVW

2023年9月3日(日)に開催された「クラシックカーレビュー ITOIGAWA」の会場でふと目に止まったのが、さりげなくシングルナンバーを掲げていたフォルクスワーゲン「1200」。オーナーに詳しくお話を伺ったので紹介しよう。

ある意味貴重なフォルクスワーゲン

今を遡ること30年以上前の1992年、新潟県の糸魚川市で第1回目が開催された「日本海クラシックカーレビュー」。いまでは上信越・北陸エリアを代表する我が国有数の老舗ヒストリックカー・イベントとして広く認知されている。しかし、その知名度と人気ゆえ会場やスタッフのキャパシティ的は飽和状態となりつつあった。そこで昨年のイベントをひとつの区切りとして「日本海クラシックカーレビュー」としての開催は一旦終了。今年からはその名称も「クラシックカーレビュー ITOIGAWA」と改め、参加台数のスリム化、市内パレードの割愛など、一部コンテンツを見直したうえ改めて開催されることとなった。

さる9月3日(日)に開催されたこのイベントの参加車両は、国籍を問わず1974年以前に生産されたクルマが対象となる。もちろんヒストリックカーの世界ではお馴染みの空冷フォルクスワーゲン一族も「タイプ1」(ビートル)や「タイプ2」(ワーゲンバス)、「カルマンギア」など5台が今回のエントリーリストに名を連ねた。

それら会場の一角に展示されていたフラット4軍団はいずれも上々のコンディションであるが、その中でふと目に止まったのが、さりげなくシングルナンバーを掲げていたフォルクスワーゲン1200。ある意味、何の変哲もない1971年式のスタンダード・モデルだ。

オリジナル状態のシングルナンバーはぜひ手に入れたかった

「もともと空冷フォルクスワーゲンが好きで、18歳で免許をとって最初に手に入れたのは“1303”でした」

というオーナーの“MCハマ男”さん。いまでは空冷VWも決して安いクルマではなくなってしまったが、当時はビートルといえば財布の軽い若者でも手に入れやすいヒストリックカー/輸入車の定番であった。

「その後2年ほどは1303で空冷VW生活を満喫していたのですが、ある日地元のクルマ屋さんの倉庫で見かけたのがこの1200でした」

その「新5」のシングルナンバーを掲げたクルマは売り物ではなかったのだが、見れば1971年式のスタンダードというベーシックグレードであった。

スタンダードは装備も簡素。また、他のグレードに比べ車重が軽いので、当時中古のスタンダードの多くはヒストリックレーサーやドラッグマシーンのベースとして使われてしまうことも多かったという。

「オリジナルの状態を保っているシングルナンバーを掲げたスタンダードは貴重、これはぜひ手に入れたいと思いました」

と、MCハマ男さんはそのクルマ屋さんと交渉。シングルナンバーを継続するという前提でこの1200スタンダードを手に入れることとなった。

今や「どノーマル」はむしろ少数派

「手に入れた当初はフューエルラインにサビが詰まったり、あるいはポイントの接触不良で止まったりという旧車ならではのマイナー・トラブルには幾度か見舞われましたが、基本的にはシンプルで丈夫なクルマです。高速道路でも十分以上に走りますし、今でも燃費はリッター13kmはいきます」

「スプリットやオーバルなどのビンテージ・ビートルはそれなりの格を備えた“クラシックカー”として貴重品扱いされていますが、逆にこの年式の“どノーマルの1200スタンダード”は、今ではむしろ少数派かもしれませんね」

最近はイベントに参加する機会も多いというMCハマ男さん。クルマ屋さんの倉庫での運命の出会いから32年、時代の空気を色濃く纏ったVW1200スタンダードとMCハマ男さんの幸せな空冷VW生活はいまなお継続中である。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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