チャオイタリア2023の会場で出会った可愛い初代パンダ
2023年10月22日(日)、兵庫県のセントラルサーキットで開催された「Ciao Italia 2023」。これはその名の通り、イタリア車限定のサーキット・イベントで、フィアット「500」やアルファ ロメオの「ジュリア」系といった1960年代の定番ヒストリックカーから最新のフェラーリやランボルギーニまで、年式もメイクスも多様なモデル187台がエントリー・リストに名を連ねる一大イベント。第29回目となった今回のイベント会場で見つけた気になるクルマをピックアップ、それぞれのオーナーにお話を伺ってみた。
80年代イタリアを代表するベーシックカーは和み感バツグン
最新のド派手なランボルギーニやフェラーリ、あるいはやる気満々のレーシング・アルファなどに混ざってチョコンと会場にパークしていたのはイタリアを代表するベーシックカー、フィアット「パンダ」。近づいてみれば、生まれてから30年近くを経たとは思えぬほど程度は上々。その清涼感にあふれた佇まいは、周囲の空気まで和ませているかのようだ。
「パンダは以前から気になるクルマでした。このクルマを手に入れたのは2015年のことで、今年で9年目になります」
と語るのは、奥様とともにイベントに参加したオーナーの白藤彰一さん。1980年のデビューから2003年まで、長きにわたり生産された初代パンダだが、白藤さんの愛車は1996年式の1100CLX。初期のOHVエンジンに替わりFIRE(Fully Integrated Robotized Engine)と名づけられた新世代のSOHCエンジンが採用された後期モデルだ。
手に入れてから少しずつ「初期化」
「初めてパンダを運転したときの第一印象は、“なんだか乗りにくいな”というものでした」
という白藤さん、じつはパンダの他にも1970年式のポルシェ「911S」も所有しているという。たしかにリアエンジンのパワフルな911と比較すると、その乗り味がずいぶん異なるという印象も頷ける。
「今では小さなFWDにもすっかり馴染んで毎日快適に走っています」という白藤さんはこのパンダを普段の街乗りや通勤にも使っており、総走行距離はすでに17万kmを超えている。
「メンテナンスは地元のショップで面倒を見てもらっていますが、基本的にはノントラブルです」
日常使いに加え、パンダ・オーナーのワンメイク・イベント「パンダリーノ」をはじめ、さまざまなイベントにも参加してきたという白藤さんのパンダは、手に入れてから少しずつ「初期化」を行い、現在では若干のローダウン・サスペンション以外はほぼ純正オリジナル状態を保っている。
歴史的なベーシックカーは今も日々の生活で活躍中
フィアットからの依頼を受けデザインを手がけた、かのジョルジェット・ジウジアーロ自身が「私の最高傑作」というほどの完成度を誇った初代パンダは、イタリアを中心に世界的なヒット作となって経営不振に喘いでいたフィアットの救世主となった。
そんな一世を風靡した偉大なベーシックカーを、いまなおその当初のコンセプトどおり日々の生活に使い、イベントやバカンスにも使う。まさにフィアット・パンダとオーナーとの理想的な関係を体現しているかのような、白藤さんご夫妻とパンダ1100CLXなのである。