フィアット アバルト「1000TCベルリーナ・コルサ」が調子悪くて……
「クラシックカーレビュー ITOIGAWA 2023」の会場内で見つけたのは、「Automobile Club Japan SINCE 1908」のパネルを掲げて展示されたシトロエン「アミ8」。オーナーに詳しくお話を伺ったので紹介しよう。
歴史ある自動車クラブとは
さる2023年9月3日(日)に新潟県は糸魚川市で開催されたわが国有数の老舗ヒストリックカー・イベント、「クラシックカーレビュー ITOIGAWA 2023」。これは1992年に新潟県の糸魚川市で第1回目が開催され30年以上の歴史を誇る「日本海クラシックカーレビュー」が今年から名称も新たにリニューアルされたもの。このイベントの参加車両は国籍を問わず1974年以前に生産されたクルマが対象で、そのエントラントの顔ぶれは、まさに百花繚乱である。
このクラシックカーレビューも長い歴史を持つイベントであるが、会場内で見つけたのは「Automobile Club Japan SINCE 1908」のパネルを掲げて展示されたシトロエン・アミ。1908年といえば明治41年。この頃の自動車にまつわるトピックといえばアメリカ、アジア、欧州を2万kmにわたって走破する壮大な「ニューヨーク-パリ・レース」が開催され、また、あの「T型フォード」がデビューしたのもこの年。まさに欧米のモータリゼーション胎動期であったが、その年に日本で生まれた自動車クラブとは一体? というわけで、さっそくシトロエン アミのオーナー氏に話を伺ってみることにした。
「明治41年、皇族であり海軍士官でもあった有栖川宮威仁親王(ありすがわのみや たけひとしんのう)の先導で我が国初の“自動車遠乗り会”が行われ、その際に日本初の自動車倶楽部を設立したとされますが、我々はその“自動車遠乗り会”からちょうど103年後の記念日となる2011年8月1日に『オートモビル・クラブ・ジャパン』としてリスタートした、というわけです」
と話してくれたのは、同クラブの会長である是枝正美さん。「世界で一番アグレッシブな自動車倶楽部」を標榜し、サーキット・イベントやツーリングなどを積極的に開催しているオートモビル・クラブ・ジャパンだが、今回のようにヒストリックカー仲間との交流・親睦を兼ねて各地のイベントに参加することも少なくないという。
先週手元に来たばかりというアミ8で参加
「じつは今回のイベントにはフィアット アバルト1000TCベルリーナ・コルサでエントリーしていたのですが、ちょっと調子が悪くて、急遽このシトロエン・アミ8での参加となりました」
という是枝さん。ご存知の通りシトロエン アミは2CVのひとクラス上級モデルとして1961年にデビューしたクルマで、クリフカット・デザインが特徴的なデビュー当初のアミ6と、リアが一般的なハッチバックに改められて1969年に登場したアミ8などのバリエーションがあるが、是枝さんが持ち込んだのは1969年式のアミ8である。
「じつはこのアミ8、先週手元に来たばかりなんですよ。少し前に別のイベントでこのクルマを見かけて、そのオーナーの方が高齢で手放してもいいということから譲っていただいたものです」
「以前はルノー ドーフィンのレース仕様などでヒストリックカー・レースを楽しんだりしていたのですが、最近ではそれらも手放してのんびりイベントやツーリングに参加することが多くなってきました」
今から115年前、日比谷公園から国立市・谷保天満宮までのツーリングをきっかけに誕生した日本初の自動車倶楽部。その故事を精神的バックボーンとし、全国に支部やメイクス毎のクラブ内クラブなども擁する会員数百名規模の「日本最古の」自動車クラブ「オートモビル・クラブ・ジャパン」を率いる会長、是枝正美さん。その勢力的な活動内容とたおやかな佇まいのアミ8とのコントラストが対照的であった。
■オートモビル・クラブ・ジャパン
https://acj1908.com