シリーズチャンピオン争いは最終戦までもつれ込む!
世界最高の“ハコ車”レースとして世界中から注目を集めるSUPER GT。シリーズの上位クラスとして、トヨタと日産、ホンダの3メーカーが鎬を削るのがGT500クラスだ。開幕から7戦を終え、日産が3勝を挙げトヨタとホンダが2勝ずつ。そして3メーカーの1台ずつがチャンピオン候補として最終戦を迎えるという、まさに三つ巴のバトルが繰り広げられてきた。
3号車Zが予選トップで王者争いに食らいつく
チャンピオン候補の3台はランキング上位から36号車 au TOM’S GR Supra(坪井 翔/宮田莉朋)、3号車 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)、16号車 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)。最終戦を迎えた時点での獲得ポイントはそれぞれ69点、62点、53点だったが、土曜日の公式予選で3号車 Niterra MOTUL Zがポールポジションを獲得して予選ポイントの1点を加算。トップとは6点差まで詰め寄っていた。
その36号車 au TOM’S GR Supraは予選で3番手につけていて、優勝すればライバルの順位に関係なくタイトルを手に入れることができるのだが、この予選順位のままチェッカーとなれば3号車 Niterra MOTUL Zに逆転チャンピオンが転がり込んでくる、という位置関係である。ランキング3位の16号車 ARTA MUGEN NSX-GTにとってタイトル獲得の条件は自身の優勝が必須で、なおかつライバル陣が下位に低迷することも必要条件となっていた。タイヤの合わせ込みが上手くいかずに予選ではQ1敗退してしまい9番手スタート。逆転チャンピオンには黄色信号が灯ってしまっていた。
スタートからトップに立ちレースを支配した3号車 Niterra MOTUL Z
決勝前に行われたウォームアップ走行でも3号車 Niterra MOTUL Zが速く、前日の公式練習から公式予選のQ1、Q2に続いてトップタイムをマーク。同じミシュランを装着する23号車 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)も予選5番手と上位につけており、これがラストレースとなるミシュランタイヤにとっては有終の美を飾ることが期待されていた。
そして午後1時にはパレードラップが始まり、続いてフォーメーションラップ、そして63周の決勝レースがスタートする。この時点での気温と路面温度は23℃と28℃。各チームが想定した温度レンジとなっていたのか気になるところだが、この時点で路面は完全ドライコンディションだった。
ポールスタートの3号車 Niterra MOTUL Zが順調なダッシュを見せてトップをキープ。2番手スタートの17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)、3番手スタートの36号車 au TOM’S GR Supraもこれに続き、トップ3は順当なスタートシーンを展開。その後方では23号車 MOTUL AUTECH Zが24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)をパスして4番手に進出していた。
スタート時点ではドライコンディションだったものの、雲が低くたれ込めていて降雨が心配されていたが、レースが5周目を迎えたあたりから雨粒が落ち始めた。そして10周目を迎えるころにはホームストレートを中心に雨脚が強まって路面コンディションがハーフウェットとなっていった。
セクター毎にコンディションが変わるタフなレース展開となり、後方集団の中にはペースダウンを余儀なくされたり、アクシデントに遭遇するマシンも出てくるありさまだったが、トップ3はそのポジションをキープ。といってもトップを行く3号車 Niterra MOTUL Zは2位以下を引き離して快走を続け、その5秒以上も後方では17号車 Astemo NSX-GTと36号車 au TOM’S GR Supraが接近戦を続けるという展開が続いていた。
その2位争いのバトルに変化が訪れたのは23周目。それまで20周近くテールtoノーズのバトルを続けていた2台だったが、3コーナーで17号車 Astemo NSX-GTをアウトから仕掛けていった36号車 au TOM’S GR Supraがサイドbyサイドに持ち込み、4コーナーから5コーナー、130RからS字と並走状態で駆け抜けた末にV字コーナーで完全にポジション逆転。36号車 au TOM’S GR Supraはこれで自力タイトルの権利を得る2位へと進出した。