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スーパーGT2023年シーズンの年間王者は36号車「auトムスGRスープラ」に輝く! 3号車「ニテラモチュールZ」は雨に嫌われました

チェッカーの瞬間

トップチェッカーを受けたau TOM'S GR Supra

シリーズチャンピオン争いは最終戦までもつれ込む!

世界最高の“ハコ車”レースとして世界中から注目を集めるSUPER GT。シリーズの上位クラスとして、トヨタと日産、ホンダの3メーカーが鎬を削るのがGT500クラスだ。開幕から7戦を終え、日産が3勝を挙げトヨタとホンダが2勝ずつ。そして3メーカーの1台ずつがチャンピオン候補として最終戦を迎えるという、まさに三つ巴のバトルが繰り広げられてきた。

3号車Zが予選トップで王者争いに食らいつく

チャンピオン候補の3台はランキング上位から36号車 au TOM’S GR Supra(坪井 翔/宮田莉朋)、3号車 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)、16号車 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)。最終戦を迎えた時点での獲得ポイントはそれぞれ69点、62点、53点だったが、土曜日の公式予選で3号車 Niterra MOTUL Zがポールポジションを獲得して予選ポイントの1点を加算。トップとは6点差まで詰め寄っていた。

その36号車 au TOM’S GR Supraは予選で3番手につけていて、優勝すればライバルの順位に関係なくタイトルを手に入れることができるのだが、この予選順位のままチェッカーとなれば3号車 Niterra MOTUL Zに逆転チャンピオンが転がり込んでくる、という位置関係である。ランキング3位の16号車 ARTA MUGEN NSX-GTにとってタイトル獲得の条件は自身の優勝が必須で、なおかつライバル陣が下位に低迷することも必要条件となっていた。タイヤの合わせ込みが上手くいかずに予選ではQ1敗退してしまい9番手スタート。逆転チャンピオンには黄色信号が灯ってしまっていた。

スタートからトップに立ちレースを支配した3号車 Niterra MOTUL Z

決勝前に行われたウォームアップ走行でも3号車 Niterra MOTUL Zが速く、前日の公式練習から公式予選のQ1、Q2に続いてトップタイムをマーク。同じミシュランを装着する23号車 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)も予選5番手と上位につけており、これがラストレースとなるミシュランタイヤにとっては有終の美を飾ることが期待されていた。

そして午後1時にはパレードラップが始まり、続いてフォーメーションラップ、そして63周の決勝レースがスタートする。この時点での気温と路面温度は23℃と28℃。各チームが想定した温度レンジとなっていたのか気になるところだが、この時点で路面は完全ドライコンディションだった。

ポールスタートの3号車 Niterra MOTUL Zが順調なダッシュを見せてトップをキープ。2番手スタートの17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)、3番手スタートの36号車 au TOM’S GR Supraもこれに続き、トップ3は順当なスタートシーンを展開。その後方では23号車 MOTUL AUTECH Zが24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)をパスして4番手に進出していた。

スタート時点ではドライコンディションだったものの、雲が低くたれ込めていて降雨が心配されていたが、レースが5周目を迎えたあたりから雨粒が落ち始めた。そして10周目を迎えるころにはホームストレートを中心に雨脚が強まって路面コンディションがハーフウェットとなっていった。

セクター毎にコンディションが変わるタフなレース展開となり、後方集団の中にはペースダウンを余儀なくされたり、アクシデントに遭遇するマシンも出てくるありさまだったが、トップ3はそのポジションをキープ。といってもトップを行く3号車 Niterra MOTUL Zは2位以下を引き離して快走を続け、その5秒以上も後方では17号車 Astemo NSX-GTと36号車 au TOM’S GR Supraが接近戦を続けるという展開が続いていた。

その2位争いのバトルに変化が訪れたのは23周目。それまで20周近くテールtoノーズのバトルを続けていた2台だったが、3コーナーで17号車 Astemo NSX-GTをアウトから仕掛けていった36号車 au TOM’S GR Supraがサイドbyサイドに持ち込み、4コーナーから5コーナー、130RからS字と並走状態で駆け抜けた末にV字コーナーで完全にポジション逆転。36号車 au TOM’S GR Supraはこれで自力タイトルの権利を得る2位へと進出した。

最後の最後までプッシュし続けた36号車 au TOM’S GR Supraが逆転優勝

トップを快走する3号車 Niterra MOTUL Zにとっては逆転タイトルを狙うにはこのレースで優勝することが必須。一方2位に立った36号車 au TOM’S GR Supraにとっては、このままのポジションでチェッカーを受ければ逃げ切りでタイトルが決定する。しかし2台はそんな計算を度外視したように、このレースに勝つためだけに先を急ぐ。

さらにその後方でもこれがラストレースとなるミシュランを装着した23号車 MOTUL AUTECH Zも、やはりこれがラストレースとなるHonda NSX GTの17号車 Astemo NSX-GTと3位争いのバトルを繰り広げていた。一方、結果的には後方集団に埋もれてしまったが38号車 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)の立川も、これがGT500ラストレースとあり一つでも前のポジションを奪うべく奮闘していた。

レースも折り返しを過ぎると再び雨脚が強まってきた。ほぼドライコンディションにまで回復していたコースは再びハーフウェットに変わっていく。さらに雨脚が強くなることも予想されたが、それでも各車がルーティンピットを終えるまでには完全なウェットには至らず。結果的に全車がスリックタイヤで後半のスティントに臨むことになった。

この時点でのオーダーは、トップは相変わらず万全の走りを見せる3号車 Niterra MOTUL Z。約7秒遅れで36号車 au TOM’S GR Supraが続き、ピットインのタイミングで一つポジションアップした23号車 MOTUL AUTECH Zが表彰台圏内に進出。これを僅差で17号車 Astemo NSX-GTが追う展開となっていた。

アクシデントでストップしたマシンを修復するためにFCY(フルコースイエロー)が提示されるが全車が一列渋滞となるセーフティカー(SC)ランと違って各車の間隔はそのままで1周走った後にFCYは解除され、再びレース状態となった。

このままレースも終わろうかという大詰めに来て大波乱! トップを快走していた3号車 Niterra MOTUL Zが59周目のS字で強くなった雨脚に姿勢を乱されてコースオフ。グラベルにスタックしてしまい、オフィシャルによってコースに戻され再スタートを切ったものの、約2分半ものタイムロスで一気にポイント圏外にまで後退。これでこの日のレースも、タイトルの行方も決してしまった。

36号車 au TOM’S GR Supraに続いて23号車 MOTUL AUTECH Z、17号車 Astemo NSX-GTが順にチェッカーを受け、表彰台にはトヨタと日産、そしてホンダの3メーカーが顔をそろえる大団円となった。これにより、2023年シーズンのドライバーズチャンピオンは36号車 au TOM’S GR Supraの坪井 翔・宮田莉朋組が獲得した。

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