好みの味わいに仕立てられるのが醍醐味
コロナ禍をきっかけに、山小屋を建てて山遊びを始めた筆者。ライフラインの確保なども進み、快適な空間が整いつつあります。そこで、今回は大自然のなかでコーヒーを嗜むことに。店を開く友人を招き、焙煎からスタートさせることになりました。
コツを掴めば誰でもワンランク上のコーヒーを楽しめる
猛暑の続いた夏がようやく終了。今年は冬の雪が少ないうえ梅雨も長くなかったせいで、ちょっと日照りが続くだけで沢が干上がってしまう。水の流れがなくなると空気も冷やされないようで、しばらくは正直いって作業どころではなかった。じっとしていれば木漏れ日が心地よく感じるレベルだが、ちょっと身体を動かすとすぐさま汗が噴き出してしまう。
そこで夏は焦る気持ちを抑えてのんびりすることに専念。9月も中旬に入り朝晩は涼しくなったタイミングで、コーヒーの焙煎と販売を生業にしている旧友が遊びに来てくれた。山遊びを始める前からコーヒーは生活に欠かせない自分だが、自然のなかで挽きたての豆から作るコーヒーは別次元の美味しさ。今回は手軽にワンランク上の味を楽しむための秘訣を、友人である『工房こひな』の阿部さんに聞いてみた。
まずは簡単にショップのプロフィールを。宮城県を中心にイベントやマルシェへの出店がメインで、事前に連絡をすれば白石市にある自宅兼工房での販売も可だ。筆者が主催している軽自動車のレース、東北660シリーズにも協力してくれている。スタンダードな豆から他では見かけないレアな豆まで取り扱い、好みに応じて焙煎の度合いなどを細かく調整してくれる。
せっかくの機会だし生豆から始めてみようとの提案で、ウッドデッキにツーバーナーを持ち出し焙煎をスタート。ロースターと呼ばれる焙煎機は安いモノなら1000円ちょいで売っており、アウトドアやコーヒーが好きな人ならひとつ持っておいて損はない。
屋外で上手に焙煎するコツは炎の強さと距離、そして風除けを使って熱を逃さないことだ。風の影響がない屋内なら中火で炎から20cmくらい離すと言われるが、外なら気温や風の強さにもよるが屋内より強火で近くがセオリー。たまにロースターを中華鍋のようにガンガン振る人もいるが、阿部さんはゆっくり回して熱を均等に加えていくイメージだという。
そして焙煎を終わらせるタイミング。浅煎りが好きな人は1回目の『爆ぜ』が終わったとき、濃いめが好きなら2回目の『爆ぜ』を目安にしよう。
次は豆の冷却だ。火を止めても豆に蓄積された熱で焙煎が進んでしまい、すぐに冷やさないと好みの味ではなくなるので注意したい。このとき重宝するのが充電式の小型ファンで、豆に触れるくらいの近さから5分も風を当てればOK。
続いてミルに人数分の豆を入れて挽き、ドリッパーにセットしたらお湯を注ぐ。温度は90℃以下といわれており、無難なのは80℃前後か。淹れ方のコツはドリップバッグでも同じだが、最初に少量だけ注いで全体的に湿らせる『蒸らし』を行なう。30秒くらい待って円を描くように適量のお湯を注げば完成だ。
* * *
豆は「焙煎した直後より翌日とか翌々日がベスト」なんて言われることもあるが、沢のせせらぎが聞こえ木々に囲まれた奥深い森という環境もあってか、今までにないほど美味しく感じたことは確かだ。アウトドアに欠かせないコーヒー、少しの手間とコダワリで味も楽しさも倍増する!
自家焙煎工房こひな
HP:https://kohina3131.base.shop
メールアドレス:kohina3131@gmail.com
Facebook/kohina3131
Instagram/3131_coffee