GT3マシンの熱いバトルはSUPER GTだけではない!
ロードカーをチューニングした競技車両によるツーリングカーレース、通称“ハコ車レース”は、昔から高い人気を誇ってきた。国内でも“世界最速のハコ車レース”を謳うSUPER GTシリーズが高い人気で、多くの観客を動員している。そのSUPER GTシリーズ以上に多くのカテゴリー、多くの車種、多くの参加台数を集めている“ハコ車レース”がスーパー耐久シリーズ、通称“S耐”。その最上位ST-Xクラスは、SUPER GTのGT300クラスでもお馴染みのFIA-GT3車両で争われる。コントロールタイヤ制でタイヤがワンメイクとされ各車のパフォーマンスが均しくなったことで、毎戦のように見応えのあるレースが繰り広げられているのが特徴だ。第5戦もてぎ以降のレースをダイジェストで振り返る。
世界中で活躍するレクサスRC F GT3がS耐で初優勝
夏休みも終わったというのに、まだまだ厳しい残暑の残っていた9月2〜3日、シーズンも後半となったS耐の第5戦・もてぎスーパー耐久 5hour Raceが開催された。エントリー総数は46台で、最上位クラスのST-Xにはレギュラー参戦している6台が出場した。
車種バラエティを見ていくとメルセデスAMG GT3が2台、国産(国産ブランド)車両も日産GT-R NISMO GT3が2台、レクサスRC F GT3とホンダ(アキュラ)NSX GT3が各1台と、4車種が顔をそろえている。
S耐では、AドライバーとBドライバーの合計タイムで決勝のスターティンググリッドが決定するスタイルとなっていて、前日に行われた公式予選は大接戦となったが永井宏明と小高一斗がそれぞれのセッションでトップから僅差の3番手と、安定した速さを見せた31号車 DENSO LEXUS RC F GT3が合算タイムにより第3戦のSUGO以来となるポールポジションを奪う。
しかし2番手以下の1号車 HELM MOTORSPORTS GTR GT3(鳥羽 豊/平木湧也/平木玲次)、14号車 中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良 響/片岡龍也)、23号車 TKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴)も僅差で続き、トップ4台のタイム差がコンマ8秒と、決勝レースでの好ヒートに期待が高まっていった。
日曜の決勝ではポールスタートの31号車 DENSO LEXUS RC F GT3が、まずはトップに立って快走。しかし、4番手からスタートした23号車 TKRI松永建設AMG GT3が猛チャージを見せ、14号車 中升 ROOKIE AMG GT3、1号車 HELM MOTORSPORTS GTR GT3を次々とパス。遂には31号車 DENSO LEXUS RC F GT3もかわしてトップに立った。
31号車 DENSO LEXUS RC F GT3は、さらに5番手からスタートしてきた202号車 KCMG NSX GT3(ポール・イップ/ホーピン・タン/マーチー・リー)にもかわされて3位にポジションダウン。その後トップ3のオーダーは変わらないままレースは進んでいく。
そして38周目を終わったところでトップ3が同時にピットイン。ここでのオーダー変更はなかったが、セカンドスティントでは31号車 DENSO LEXUS RC F GT3が猛プッシュ。スタートしてすぐに2番手に進出すると、トップを逃げる23号車 TKRI松永建設AMG GT3を追い詰めていった。
2度目のピットインで一時的にオーダー変更があったが、基本的なところでこのレースでは31号車 DENSO LEXUS RC F GT3のペースが勝っており、最後のピットインを終えたところで31号車 DENSO LEXUS RC F GT3は2位の23号車 TKRI松永建設AMG GT3に約40秒のマージンを築くと、そのまま逃げ切って嬉しい初優勝を飾った。
実はレクサスRC F GT3、SUPER GTでは2017年にGT300クラス優勝を果たしているが、それだけでなく北米ではIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTDクラスで2018年にはクラス優勝を果たしていたし、同年にブランパンGTシリーズでも初優勝を飾っている。そんな状況の中、S耐では何故か優勝できない日々が続いてきたが、ここで悲願の初優勝を飾ることになったのだ。
続く第6戦・スーパー耐久レースin岡山は、全参加車両を2グループに分けての3時間レース。ST-Xクラスが出走するグループ1の決勝レースは日曜日の午後に行われたが、14号車 中升 ROOKIE AMG GT3が見事なポールtoフィニッシュでシーズン3勝目をマーク。シリーズチャンピオンに王手をかけている。