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痛快! フェラーリの高騰ぶりを揶揄した『ペントハウス』劇中車「250GT ルッソ」はレプリカとはいえ必見です!【映画とクルマ】

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's/AMW編集部

  • 映画『ペントハウス』の主演はベン・スティラー、エディ・マーフィ、アラン・アルダ
  • 実際にマックイーンが所有していたことでも有名
  • 250GT ルッソのフロントスタイル
  • 250GT ルッソのボディサイド
  • 250GT ルッソのインテリア
  • 250GT ルッソのリアスタイル
  • 「ルッソ」とはイタリア語で贅沢を意味する
  • フェラーリ「250GT ルッソ」は1962年から1964年まで販売されていた250シリーズ最後のモデル

金融商品化し青天井に値上がりするクラシックフェラーリ

映画に登場する名車をストーリーとともに紹介する映画とクルマ。今回は、ハリウッドを代表するコメディスター、ベン・スティラーとエディ・マーフィのW主演を果たした「ペントハウス」をお届けします。

夢も希望も打ち砕く大事件が発生

ヒストリックカー、特にフェラーリが「最も効率の良い金融商品」とさえいわれる昨今のマーケット。そんな異常な状況を揶揄したかのような痛快な映画が存在する。「ラッシュアワー」シリーズや「天使のくれた時間」のブレット・ラトナー監督がメガフォンを執り、現在のハリウッドを代表するコメディスター、ベン・スティラーとエディ・マーフィのW主演で2011年に公開されたクライムコメディ作品「ペントハウス」である。

舞台は、高層ビルが林立するマンハッタンでもひときわ威容を誇る超高級コンドミニアムの「ザ・タワー」。65階立ての豪壮な巨塔は、ひと握りのミリオネアだけが入居を許される。

そんな「ザ・タワー」居住者のスーパーセレブな生活を支えるのは、敏腕マネージャーのジョシュ(ベン・スティラー)をリーダーとする使用人たち。ワガママ放題なセレブたちのあらゆる要望にも応えようと日々奮闘する彼らは、その一方で細やかな給料で慎ましい生活を営む平凡な庶民たちだった。

ところがある日、使用人たちの夢も希望も打ち砕く大事件が発生する。最上階ペントハウスの住人であるウォール街の帝王、アーサー・ショウが、全米を揺るがす金融詐欺事件を引き起こし、使用人たちの年金まで着服していた事実が発覚したのだ。

そこで、自らの大切な財産を取り戻すことを決意したジョシュたちは、プロの泥棒であるスライド(エディ・マーフィ)を助っ人に引き入れ、ショウの隠し金2000万ドルが眠ると目されるペントハウス攻略作戦に突入する……。

フェラーリの持つ独特の世界観を演出

この痛快な作品で重要な役割を果たすのが、「スティーヴ・マックイーンの元愛車」という触れこみのフェラーリ「250GT ルッソ」である。金の亡者ショウがただ利殖のために入手し、ペントハウスの自室内にこれ見よがしに飾っていたこのクルマを盗み出すために、ジョシュとスライドたちは命がけの奮闘を見せる。

ただし劇中の仕様車は、明らかにレプリカと判るシロモノ。クライマックスで大立ち回りを演ずるためには仕方ないことだろうが、それがまた虚実入り乱れた現在のヒストリックカービジネスを暗示しているかのようにも感じられるのだ。

冒頭で記したとおり、価格高騰の一途を辿るヒストリック・フェラーリが、昨今ではクルマ好きでもない投資家たちの餌食になっているのは紛れもない事実だろう。そして、この映画ではそんな惨状になることを、数年前から見透かしていたかにも見えるのだ。

名作「天使のくれた時間」で、550マラネロを巧みに好演させたラトナー監督は、この作品においてもフェラーリの持つ独特の世界観を見事に演出したといって良いと思うのである。

劇中車:フェラーリ「250GT ルッソ」
1962年から1964年まで販売されていた250シリーズ最後のモデル。「ルッソ」とはイタリア語で贅沢を意味する。実際にマックイーンが所有していたことでも有名。

『TOWER HEIST/ペントハウス』
公開年:2011年
上映時間:104分
監督:ブレット・ラトナー
出演:ベン・スティラー、エディ・マーフィ、アラン・アルダ

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