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トヨタ「ナディア」は時代を先取りしすぎていた!? 今ならヒットしたはずの斬新なコンセプトとは?

初代イプサムのプラットフォームを使用したモデルだった

さまざまな可能性にチャレンジしていたナディア

トヨタのナディア、と聞いてその姿やスペックがパッと思い浮かぶ人はかなりのマニアか過去に乗っていた経験がある人がほとんどではないだろうか。1998年8月に登場したナディアは、1996年にデビューした初代イプサムのプラットフォームを使用したモデルとなっており、イプサムよりも丸みを帯びたデザインと若干高められたアイポイントを持っていた。

ミニバン顔負けのシートアレンジを持っていた

ステーションワゴンとも5ドアハッチバックとも言い難い不思議なスタイルを持っていたナディアであったが、3列シートを備えるイプサムに対し、2列5人乗り仕様のみとしたことで5ナンバーサイズボディでありながら広い室内空間を誇っていたのが最大の美点となっている。

2列シート車でありながら、ミニバン顔負けのシートアレンジを持っていたのも特徴で、フロントシートを対面にすることができたり(一部グレード)、リアシートが左右独立でスライド&リクライニングできたり、リアシートを折りたたんでフラットで広大な荷室を作り出したりと、「2列シートミニバン」と言えるようなものになっていた。

またイプサムとは異なり足踏み式のパーキングブレーキを採用したことで、前後左右のウォークスルーを実現するなど、非常にフレキシブルに使うことができるようになっていた点も特徴のひとつだった。

パワートレインはイプサムなどに設定されていたディーゼルはラインナップされず、2Lのガソリンエンジンのみとなり、通常の3S-FE型エンジンのほか、トヨタ初のガソリン直噴エンジンである3S-FSE型エンジンがコロナプレミオに次いで搭載されていたのも大きな違いとなっている。

そしてイプサムと最も大きな違いと言えるのが、1999年6月に追加となった「type SU」だろう。このtype SUは、グレード名からも推察できるようにSUVテイストを持った仕様となっており、今でいうクロスオーバーSUVモデルに仕立てられたもの。

外装では前後パンパーにモールが備わり、サイドマッドガードとクラッディングパネルがプラスされるだけでなく、フェンダーも大型化されて3ナンバーサイズになるという手の込んだもので、車両型式も専用のものが用意されるほどの気合いが入った仕様となっていた。

見た目だけでなく、標準モデルよりも大径となる215/60R16(標準モデルは195/60R15)サイズのタイヤと専用サスペンションで最低地上高も高められており、一見すると「ミニハリアー」のようなSUVらしいスタイルを実現していたのだ。

このようにさまざまな可能性にチャレンジしていたナディアではあったが、当時はまだまだクロスオーバーSUVブームがくるはるか前であり、いずれも中途半端な感覚も否めなかったことでヒット作とはならず、2003年夏に1世代限りで消滅してしまったのだった。

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