アルファ ロメオ トナーレが伝統の“パンテーラ”に就任
2023年11月末、ステランティスから興味深い、そして一部のコアなパトカーマニアにはたまらないニュースが世界中に配信された。70年以上も前から「パンテーラ」の愛称とともに、イタリアの治安維持や交通安全に貢献してきたアルファ ロメオのパトロールカー、通称「パンテーラ(豹)」の系譜に、このほど新たに新型SUV「トナーレ」がくわえられることになったという。
パンテーラの称号を得た、特別仕立てのトナーレ
このほど、鮮やかなブルーと白のイタリア警察カラーをまとった新型アルファ ロメオ トナーレが新世代の「パンテーラ」として、イタリア国内各地の警察本部に配属。今後の治安維持に使用されることが決定した。
そして、日本の交通機動隊に近い部隊、「スクアドラ・ヴォランテ」の銘が刻まれた豹のグラフィック入りのトナーレ・パンテーラ第一号車は、11月29日にトリノの警察本部に引き渡された。
アルファロメオ社内のデザインオフィス「アルファ ロメオ チェントロスティーレ」で行われたこのセレモニーには、マッテオ・ピアンテドージ内務大臣、ヴィットリオ・ピサーニ警察長官、アルファ ロメオのジャン・フィリップ・インパラートCEO、そしてステランティス・イタリアのサント・フィチーリ社長らが出席。イタリア州警察とパンテーラの歴史に、新たな1ページを加えた。
パンテーラ仕様のトナーレは、システム総出力163psを発生する1.5Lハイブリッド・ガソリンエンジンに7速オートマチック・トランスミッションの組み合わせ。防弾・飛散防止のプロテクション、作戦中のチェックを迅速化する「メルクーリオ・エクステンデッド」テクノロジーも搭載し、2023年12月からイタリア全土の警察本部における総合予防・公共救助事務所、および主要な警察署に配備されてゆくとのことである。
さらに、ステランティスが2022年に参加した入札に基づき、2024年前半には合計850台が警察車両に加わることも発表された。
イタリアでまだ自動車の登録が少なかった第二次世界大戦以前、警察車両はとくにモデルを選ぶことなく、通常の公用車と同様に供用されるのがスタンダードだった。
しかし1952年、州警察に初めて特別装備車アルファ ロメオ1900TIが導入されて以来、アルファ ロメオは常に警察にとって基本的な役割を担うようになる。また国務省管轄の「カラビニエリ」も、アルファ ロメオのクルマが多勢を占めてゆく。
1960年代から70年代にかけては、象徴的なジュリエッタ1300やジュリア・スーパー1600が続き、1980年代初頭には青と白を基調としたアルファ33のパトカーがイタリアの道路を走った。やがて155、159など、それぞれの時代のアルファ ロメオが「パンテーラ」として活躍。現在では3代目ジュリエッタや現行型ジュリアがその地位についているのだが、ついにトナーレも「パンテーラ」の歴史に名を遺すことになったのだ。