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もはやエンジンは主役にあらず!? レンジローバーの最高峰「SV」でPHEVの“上品”な走りを体感

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TEXT: 西川 淳(NISHIKAWA Jun)  PHOTO: タナカヒデヒロ

電気でもハイブリッドでも。ラグジュアリーカーの新たな“スタンダード”

都内では余裕でBEVとして過ごし、バッテリーの余力をかなり残して、いつものように京都を目指す。

高速に入ってからもスムーズな走りが続く。エンジンとモーターの協調はもちろん、電動状態からエンジンへの切り替え、もしくはその逆も含めて、全体的なパワートレイン制御が極めてスムーズだからだ。ハイブリッド/エレクトリック/セーブといった3種のドライブモードが用意されているが、充電を積極的に行うセーブモードでややエンジンフィールがざらついたことを除けば、全体的にシステムの制御は上々だったと言っていい。

ハイブリッドモードでのここ一発の加速は十二分に速い。V8モデルにやや負けるかな、とは思ったものの、それはほとんど迫力の加減であって、事実上は同程度の性能だ。むしろエンジンとモーター、いずれかが目立つようなこともなく十分に力強く加速するあたり、上品でさえある。加速中はエンジンと電気モーターのそれぞれが互いの弱点を補い合うかのようにして力を途切れさせることなく速度を上げてくれるから、とても扱いやすいし、もっというと気分がいい。上質なライドコンフォートさも含め、ラグジュアリーカーの新たなスタンダードになったと思う。

レンジローバーを駆っていると、不思議と気分が落ち着くのだ。新東名の120km/h区間、ドイツや日本の上級ブランドSUVを駆る連中のように、追い越し車線を下品に突き進むような真似は自然としなくなる。左車線を悠々と走っていられるのだ。まさに金持ち喧嘩せずの心境で、そこはロールス・ロイスやベントレーといった英国の王室御用達ブランドに乗ったときとまるで変わらない。少なくとも筆者にはそんな品格は備わっていない。だからそれはクルマの方に根付いたものだ。

マイペースが極上。京都までの450kmは、それでもあっという間に感じた。所要時間が短かったのではない。精神的にラクだったから短く感じたのだ。もちろん肉体的な疲労も少なく、長距離ドライブをこなしてなお、目的地でデスクに向かう気力が残っていた。

非の打ち所がないラグジュアリーカー。運転を諦めない長距離ドライブ派には最高の1台であろう。

京都到着を前にバッテリーへの充電を並行して行う。せめて20km分だけでも貯めておこうと思う。そうすれば京都東インターで高速を出て一般道に入ったならすぐにBEVへと変えることができる。京都の街中はできるだけ静かに走りたいと思ったのだった。

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