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トヨタの市販前「キネティックシート」をサーキットで体験。HDRSに「GRヤリス」がやってきた!

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明

  • 面で身体を支えてくれることで疲れにくくなりそうという評価も
  • キネティックシートは、シート自体の構造ではなく、シートカバーのように、通常の車両に装着されているノーマルシートの上に置いて使用することを前提に開発が進められている
  • この開発車両にはグイドシンプレックスの手動装置がつけられている
  • 一般社団法人国際スポーツアビリティ協会が主催するHDRS。障がい者も健常者も分け隔てなく行われるレーシングスクールである
  • 車いす生活になったものの、4輪の競技ライセンスを2007年に取得。ドライバーとして第2の競技人生をスタートさせた青木拓磨選手。アジアンクロスカントリーラリー2023ではついに総合優勝も果たしている
  • 青木拓磨選手、そして山田遼選手から具体的にマン・ツー・マンで指導を受けることができる機会となる
  • 開発者3名が車両を持ち込んで各参加者からのコメントを熱心に聞き取っていたが、評価の視点にびっくりするような新しい発見も多くあったという
  • 前回のHDRSではアジアクロスカントリーラリー2023優勝車であるトヨタ・フォーチュナーが持ち込まれたが、今回はこのキネティックシートの開発車両であった
  • キネティックシートの構造。人の背骨の特性をシートが追従するような動きを実現させているという
  • 車両のシートに存在する2つの軸を支え、振動や旋回に対し、「姿勢を保持しようとする仕組み」で身体への負担を低減させる
  • 今回は横沢高徳参議院議員も夕方から開催される本会議を前に午前中のみ参加。青木選手と意見交換も行っていた
  • 先進技術開発カンパニー 先進プロダクト開発部 先進車両技術開発室 複合感性性能Gの加藤康之主幹は、実際にその助手席に乗り込んで、直接参加者からのコメントを取っていた

「ジャパンモビリティショー」でも出展されていたシート

2023年11月20日(月)、千葉県にある袖ケ浦フォレストレースウェイを舞台に、HDRS(ハンド・ドライブ・レーシング・スクール)というスクールが開催された。このスクールを主宰するのは一般社団法人国際スポーツアビリティ協会。この理事長を務めるのが車いすドライバーとして活躍する青木拓磨選手である。

一般健常者も参加が可能

青木選手は国内ロードレース選手権での大活躍の後、世界最高峰となる2輪ロードレース世界選手権(WGP)に1997年から参戦を開始した伝説のライダーである。フルエントリー参戦2年目となる1998年シーズンが開幕する直前に行われたGPマシンのテスト中の事故によって脊髄を損傷し、車いす生活を余儀なくされてしまっている。

事故後に4輪ドライバーに転向し、活躍している青木選手が、展開しているこのHDRSは、ハンドドライブでクルマを運転する人のドライビングテクニックの講習という点に注力したスクール。

機能障がいを有している人ならではのクルマのドライビングの最適なポジションや操作方法を確認し、それぞれの障がいに合わせたドライビングをレクチャーしている。それはハンドルの位置やシート位置、シートベルト、といった各項目をきっちり正しい位置で乗車することからスタートしている。

HDRSでは、まずスラロームおよびブレーキングからスタートする。きちんと乗車姿勢を取れているかを確認した後、休憩を挟み30分×3回のサーキット走行が設定される。障がい者はもちろん、一般健常者も参加が可能。ただ、参加費用は障がい者は健常者に比べ大いに割引されているのも特徴のひとつである。

車両は基本的に参加者自身のクルマを持ち込んで走行することになるが、アクティブクラッチやグイドシンプレックスといった手動装置を組み込んだレース用車両の日産「マーチ」やホンダ「N-ONE」も持ち込まれており、これらの車両をレンタルすることもできる。またHDRSのハンドドライブ車両で走行する青木選手の助手席同乗走行も可能である。

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