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VWのEVは514万円の「ID.4ライト」が本命!? ベーシックグレードだから実感できた「人に優しいEV」とは

VWのEVは514万円の「ID.4ライト」が本命!? ベーシックグレードだから実感できた「人に優しいEV」とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 神村 聖

ちょうどいいパワー感で違和感なく走れる

ところで、これはきわめて少ないBEV経験に基づく、つまりは偏見に近い感想(妄想?)なのだが、500psを超えるようなパワーを誇示するハイパワー系のBEVには、正直なところ苦手意識がある。

人間、とくに筆者のようなアナクロ派のクルマ好きの感覚というのは保守的なもので、電動モーターのトルク特性から、乱暴にアクセルを踏み込むとそのまま直線的かつ猛然と加速してしまうハイパワーBEVの特質は、理屈では分かっているつもりでもなかなか身体がついていかない。だから、最初は圧倒的な速さに駆られるように加速を楽しんでいても、わりと早々に疲労困憊となってしまうのだ。

いっぽう最高出力125kW(170ps)のID.4ライトは、パワー/トルクがさほど高くないゆえに、路面や空気の抵抗の影響を受けとめてしまうのだろう。結果として、これまで慣れ親しんだICE車やハイブリッド車と大差ない、二次曲線的な加速フィールを体感させてくれる。それは、VWの目指すところである実用車としてはよく考え抜いた、とても好ましいチューニングと思われる。

とはいえ、高速道路であっても痛痒はまったく感じさせず、ちょっと気を緩めると驚くようなスピードが出てしまうくらいには高性能ながら、やはり調子によってアクセルを踏んでいると、バッテリー残量を示すゲージがみるみる減ってゆくのはやむをえまい。

角のとれた穏やかな乗り心地がライトの美点

そしてID.4プロとの違いをもっとも感じさせたのは、乗り心地を含めたドライブフィールである。小型化されたバッテリーパックはキャビン床下、リアを駆動するシングルモーターは後輪車軸の直前に配置。つまりは事実上のミッドシップであり、前後の重量配分も47:53というスポーティなスペックの持ち主ではあるものの、小心者の筆者が一般公道で走らせられる程度のペースにおいては、安定したハンドリングを披露する。

ただしこの安定性とは表裏一体で、乗り心地がけっこうハードなものとなるのは、ID.4に共通する特質。それでもID.4ライトに装着される前後とも235/60R18という、今どき珍しいほどに厚みのあるタイヤのせいなのか、路面の継ぎ目などでも体感するハーシュネスは、ID.4プロよりも明らかに角がとれた穏やかなものである。

VWではID.4を「背伸びをしない等身大の理想が叶う、人にも優しいEV」と自認しているのだが、ID.4ライトこそその精神をもっともピュアに体現しているかに感じられた。

一充電での走行可能距離がID.4プロよりも200km近くも低くなってしまうのは悩ましいところではあるが、長距離ドライブをあまり前提としない使い方であるならば、こちらのID.4ライトこそが、より「人に優しい」と思うのである。

試乗車の諸元

■VOLKSWAGEN ID.4 Lite
フォルクスワーゲン ID.4ライト

・車両価格(消費税込):514万2000円
・全長:4585mm
・全幅:1850mm
・全高:1640mm
・ホイールベース:2770mm
・車両重量:1950kg
・モーター最高出力:125kW(170ps)/3851-15311rpm
・モーター最大トルク:310Nm(31.6kg-m)/0-3851rpm
・バッテリー総電力量:52.0kWh
・ラゲッジ容量:543(1575)L
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッドディスク、(後)ドラム
・タイヤ:(前&後)235/60R18

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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