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メキシコ国境の近くに出現する「雪原」の正体は?「ホワイトサンズ国立公園」の壮大な風景は寄り道する価値ありです【ルート66旅_29】

ニューメキシコ州のルート66サイドトリップ第2弾

広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、ミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州、テキサス州を経てニューメキシコ州へ。今回は、ルート66から南に寄り道して、純白の絶景スポット「ホワイトサンズ」をご案内します。

白砂で覆われた大地ホワイトサンズ

前回に引き続きサンタ・ローザを起点とした、絶対に行っておきたい南へのサイドトリップを。ブルー・ホールの街サンタ・ローザから3時間。もう少し南へ下ればメキシコとの国境があるテキサス州エル・パソに着くというロケーションだ。ルート66からの寄り道と呼ぶには遠い気もするが、ここの美しく壮大な景色は見ておいて損ははい。その名もホワイトサンズ国立公園。

約710平方キロメートルの広さに渡って白い砂丘が広がっており、手を触れるまでは雪原と勘違いしてしまうほど。砂の正体はアラバスターと呼ばれる雪花石膏で、水溶性なので砂の形で残るケースは稀だという。通常なら川から海へと流れ陸地に留まることがないが、ホワイトサンズ近郊には川がないため地表で乾燥、その後に結晶化し細かく砕かれ砂状になったそうだ。ちなみに国立公園へ昇格したのはつい最近で2019年、私が訪れたときは国定記念物として扱われていた。

時期は3月の半ばであったにもかかわらず、レンタカーの外気温計は28°Cという暑さ。おまけに地平線までを覆い尽くす白砂が天然のレフ板となり、昼はサングラスなしではとても運転できないほど眩しい。しかし外へ出て白砂を触ってみるとますます不思議な気分になる。真夏のビーチを素足で歩き砂の熱さに驚いた人もいると思うが、石膏は熱を吸収しにくい性質らしく素足で歩いても平気。

ただし注意すべき点がひとつある。ホワイトサンズは意外に起伏が多く、クルマの場所を見失ったり、自分がどの方角に進んでいるか分からなくなる場合がある。砂なんだし足跡を辿ってもどれば平気と思うかもしれないが、場所によっては他人の足跡だらけで見分けがつかないのだ。有名なトレイルなら人と出会う確率が高いものの、そこらへんの砂丘を適当に登って歩いていると、意外なほどあっさり自分の位置をロストしかねない。クルマが見える範囲で景色を楽しむか、登山用アプリなどを使うのがオススメだ。

砂漠にたたずむ謎のバーも雰囲気バツグン

なおホワイトサンズ国立公園を取り囲むように存在するのが、兵庫県と同等の面積を誇るホワイトサンズ・ミサイルレンジで、世界初の核実験が行われたトリニティ・サイトも含まれる。キャンプでもして夜と朝の風景を堪能したかったが、残念ながらこの日は夜にアルバカーキで約束があり、4時間ほどの短い滞在でホワイトサンズを後にした。

なお帰る途中にもひとつお気に入りのスポットがある。閉業してそれほど歳月が経っていないと思われるバーで、インターステートどころか民家もない場所にポツンと建ち、鉄の櫓にはもはや明かりを灯さない「BAR」のネオン。

調べたところワイルド・ホース・メサ・バーという名前で、1926年から1937年までのルート66と、1938
年から1950年代までのルート66の分岐点に位置しているらしい。ただし2016年に映画の撮影で使用するためBARのネオンが外され、劇中に出てくる「メイベルズ・ダイナー」の看板が掲げられた。古ぼけたネオンも含め好きだっただけに残念な気持ちも否定できない。

次回からはルート66の旅に復帰して、目指すはアメリカで2番目に古い街サンタフェ!

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