愛されるクルマを目指したプリウス
2023年で44回目を迎えた、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」。2023-2024のイヤーカーを決める最終選考会が2023年12月7日に開催され、トヨタ「プリウス」が日本カー・オブ・ザ・イヤーの栄光に輝いた。
最終選考に残ったのは10台
日本カー・オブ・ザ・イヤーは、日本のモータリゼーションの発展と、コンシューマーへの最新モデル&最新技術の周知を目的とし、1980年に設立。これまでさまざまなクルマが選出されたが、2022年には43年の歴史で初の軽自動車がイヤーカーに選ばれたのは記憶に新しい。
2023-2024に10ベストカーにノミネートされたのは、下記のモデルとなる。
・三菱デリカミニ
・ホンダZR-V
・トヨタ プリウス
・スバル クロストレック
・トヨタ アルファード/ヴェルファイア
・日産セレナ
・アバルト500e
・BMW X1
・マセラティ グレカーレ
・フォルクスワーゲンID.4
投票は日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員である自動車評論家、ジャーナリスト、有識者の60名が行い、最終選考に残った10ベストカーの試乗会を経て投票が行われている。日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたトヨタ プリウスのほか、各賞に選ばれた各車と選考理由のコメントを下記に紹介する。
【日本カー・オブ・ザ・イヤー】
トヨタ プリウス
<授賞理由>
ハイブリッド車のパイオニアであり、長く牽引役、推進役を務め続けたプリウスが、5代目にしてついにその殻を破った。ハイブリッド技術が一般化した今、もはやそのシンボルである必要はなく、自らブレークスルーを図り新しいフェーズへ移行したのである。
首脳陣からはコモディティ化を進める案も出たが、それを覆したのは開発陣の熱意。クリーンな車というだけでなく、愛されるクルマを目指した。
これまで空力性能最優先だったボディは、スタイリッシュなモノフォルムに大変身。Cd値では従来型に少し劣るものの、前面投影面積を減らすことでCdA値は従来型並みに抑えることに成功している。
その上で低重心化とロングホイールベース化を図り、動的性能の著しい向上を実現したことが高く評価された。操縦性はプリウス史上最も敏捷かつ正確なものに変貌を遂げ、スポーツドライビングが楽しめる。
【インポート・カー・オブ・ザ・イヤー】
BMW X1
<授賞理由>
日本市場に相応しいコンパクトサイズでありながら、BMWらしい動的質感の高さを実現。パワー・オブ・チョイス。つまりユーザーのライフスタイルに応じてBEV、ガソリン、48Vマイルドハイブリッド・ディーゼルの3種類のパワーユニットが用意され、そのどれもがハイレベルな走行性能を獲得している点が支持された。
補助金を含めればほぼ同一のプライスレンジに収まるインポーターの努力も見逃せない。
【デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー】
三菱デリカミニ
<授賞理由>
近年厳ついフロントマスクがブランド・ランゲージだった三菱が一転、愛らしく魅力的な表情を採用したことが評価された。しかも販売台数はeKクロススペースの3倍強を達成。デザインが商品性の高さに直結する大切な要素であることを自ら証明してみせた。
同社にとってアイコン的存在でもあるデリカのモデル名を用いるだけでなく、外観面でも同じ世界観を共有した意義も大きい。
【テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー】
日産セレナ
<授賞理由>
「セレナはモノより思い出」の公約通り、脇役に徹するための数々のテクノロジーが高評価を呼んだ。ミニバンでありながら高速道路でハンズオフ可能なプロパイロット2.0を最上級グレードに採用。空力面ではミニバンの弱点である横風に強い細部処理を施す等抜かりない。
5ナンバー枠に収めながらタイヤサイズを拡大したにも関わらず、従来型並みの室内スペースを確保。e-POWER用に新開発された3気筒1.4Lエンジンに対する評価も高い。
【日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会特別賞】
ジャパンモビリティショー2023
<授賞理由>
4年ぶり開催の「東京モーターショー」を「ジャパンモビリティショー2023」と改称し、新しいコンセプトを打ち立て、「人と人」、「会社と会社」、「人や会社と社会」を繋げる役割としてのモビリティの重要性を確立し、スタートアップ企業を含めた日本のモビリティ産業全般に新たな道筋を示したことを高く評価する。
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日本カー・オブ・ザ・イヤーが始まって44年という歴史のなかで、歴代3モデルが栄冠に輝いているトヨタ プリウス。各社、ガソリンモデルからEVに移行しつつあるが、2024年はどのようなクルマが登場し、選ばれるのか? 今後登場する新型車に注目だ。