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日産「シルビア」と言えば日産のスペシャリティーカーであるが、コンパクトなボディにFRレイアウト、そしてチューニングの引き出しも多いSRエンジンを搭載したモデルだ。ドリフト競技のベースマシンとして、生産が終了して20年以上が経過する今でも高い人気を誇っている。そんなシルビアの最終型であるS15型をベースに、オーテックジャパンが手掛けたコンバーチブルモデルが「ヴァリエッタ」と名付けられた1台だった。
S13シルビア以来のオープンモデル
なお、ヴァリエッタ自体はS15型シルビアが登場した1999年10月に開催された第33回東京モーターショーに出品されていたが、実際に販売がスタートしたのは2000年7月と1年以上後となっていた。
これはモーターショーに出品した当時は市販する予定がなかったからとも言われており、反響の大きさから市販化するまでに紆余曲折があったことが垣間見えるエピソードと言えるだろう。
シルビアをベースとしたコンバーチブルモデルは、S13型に設定されて以来、久々の登場ということになったが、S13型の時はソフトトップであったのに対し、ヴァリエッタは電動メタルルーフを備えたクーペカブリオレとなっていたのが最大の差異である。なお、電動ルーフは約20秒で開閉が可能となっていた。
パワートレインもS13型ではターボエンジンとATの組み合わせのみだったのに対し、ヴァリエッタはNAエンジンに5速MTもしくは4速ATを選択することができた。
なお、制作を担当したのはS13型のときと同じく高田工業であり、元々コンバーチブル化を想定していなかったシルビアをベースとしたこともあって見えない部分でかなり補強がなされている点は、ノウハウを持つ高田工業ならではと言えるところだろう。
インテリアは基本的にベースとなったS15型シルビアのものを踏襲しているが、オプションとしてシートヒーター付きの本革シートが用意されていたのはコンバーチブルならでは。また標準のフロントシート表皮には、世界初となるモルフォ蝶の鱗粉の発色原理を応用したモルフォテックスを織り込んだモルフォトーンクロスを採用。
このモルフォトーンクロスは、濁りのない澄んだ色が得られ、見る方向によって光の干渉度が変わり色調が変化するもので、日産自動車と帝人、田中貴金属工業、川島織物と共同開発したものだった。
ここまで手の込んだモデルでありながら、価格は4AT車が289万5000円、5MT車が279万8000円と今考えれば非常にリーズナブルなものとなっていたが、当時はターボエンジンを搭載したスペックRの最上級グレードよりも高価だったこともあり、生産台数は1143台(MT659台、AT444台、詳細不明40台)と言われている。
中古車となった現在でも、まだ総額100万円台で購入できる個体もそれなりに存在しているため、希少なシルビアのクーペカブリオレモデルを欲しいと考えている人は今が購入のチャンスと言えるかもしれない。