職人技のリアルプラモデル
また、ティレルと言えば特徴的なフロントの小径4輪タイヤだが、これについては、旧「ミニ」用のハブを使って10インチのホイールをセット。そこにイギリス・エイボン社が本物のティレルP34をヒストリックカーイベントで走らせるために再生産したタイヤを独自ルートで入手。じつはこのタイヤを見つけたことをきっかけに6輪ティレルを作ろうと思ったそうだ。ちなみに、極太のリアについてはホイールもタイヤもF3000用をそのまま使っている。
機能パーツについては、バイク用部品を多用することでカバーしているため、コクピットの大きさもきっちり再現しているが、メーター等は市販バイク用が付いている。だが、作り込みの雰囲気は最高だ。
また、塗装してマーキングした美しいカウルはFRP製にしか見えないが、そのすべてを手で叩いて成形したアルミ製であることに驚かされる。このアルミを使った理由について綿引さんは
「FRPだと原型を作って反転して、そこからFRP積層して作らないといけないけど、アルミならいきなり現物が作れるので、かえって簡単なんです」
と話す。カウル部分はエッジを丸めたりしてFRPの雰囲気を出す一方、現物がアルミ製のウイングはいかにもアルミらしくシャープに作ってある。こういう表現のうまさが職人技と言える。
この6輪ティレルは、お飾りではなく、実際に走ることだってできる。これまでにサーキットを何度も走らせテストを行ってきた。現在は、強度的にも問題なく、かなり攻めた走りも可能。ホンモノのF1にはとうていおよばないが、このある意味でリアルプラモデルは相当レベル高く作られている。