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中国でEVメーカーが爆増! ただし生き残れるのはたったの3社!? どうしてメーカーが乱立しては消えていくのでしょうか【Key’s note】

中国の町並み

中国の市街地の様子

コロナ禍の前と後で雰囲気は大きく変わったものとは

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「中国の電気自動車」についてです。アフターコロナで久しぶりに中国へ出張したという木下さん。中国の道を走るクルマたちは、コロナ禍前に比べて電気自動車が圧倒的に増えていたことに驚いたそうだ。木下さんが感じた最新中国EV事情について語ります。

街には電気自動車があふれていた

先日、中国・上海に行く機会がありました。

直近で渡中したのはコロナ禍前ですから、約4年ぶりの中国本土上陸にワクワクしていたのですが、もともと近代化が進んでいた上海ですし、コロナ撲滅を表面上の理由とした上海の都市封鎖によって経済が停滞していたこともあり、4年前との変化は感じられなかったのが正直なところです。

ですが、決定的に異なっていたことがひとつありました。EVモデルがたくさんいるなぁ〜、というのは4年前と同じ感想なのですが、これまで見たことのないモデルで溢れていたのです。

内燃機関を持たないEVは比較的安易に生産することが可能なようで、雨後の筍のように中国自動車メーカーが生まれ、蛙がオタマジャクシを産むように、ポコポコとニューモデルが誕生していたのです。たった4年で浦島太郎になってしまうのも納得です。

不肖キノシタもモータージャーナリストの端くれなのですが、ほとんどの車名を言い当てることができませんでした。これだけ新車が増えると、デザイン的にカブることも少なくなく、クルマの背後に回ってエンブレムを確認しないとメーカー名が判別できないばかりか、そもそも漢字で表記されている場合には正確に発音することすらできません。困ったものです。

生き残っていけるのは極わずかなのか……

とはいうものの、「この中からどんどん消えていきますね」というのは上海在住の知人、常くんは言います。

安易に作ることができるから自動車生産参入は簡単ですけれど、倒産もひきも切らないようで、生まれては消え、消えては生まれて……だそうです。

そんな中、最終的に生き残るのは3社ほどだとも噂されています。習近平国家主席とどう接するかも中国自動車メーカーの生き残りの技だそうで、今のところ安泰なのは、EVに特化することで躍進しているBYDでしょう。もともとはバッテリー会社から身を起こしたBYDは、世界的なEV化の風潮を追い風に躍進。日本にも正規輸入代理店を構えるなどして、勢力を拡大しています。

吉利自動車(ジーリー)も安泰でしょう。BYDとは異なり、ガソリンエンジンも生産しています。スウェーデン・ボルボや英国ロータスを買収しましたが、「金は出すけど口は出さない」主義が功を奏して、アライアンスの効果を高めています。

ボルボはスウェーデン色を色濃く残していますし、ロータスも個性を貫いています。買収は個性の希薄化を招くのが世の常ですが、ジーリーは個性を尊重します。成功の秘訣はそこにもありそうですね。

クルマの完成度という意味では、中国製だからといって侮れません。デザイン的な好みは人それぞれですから僕がジャッジするのは控えますが、逆に言えば、デザイン的個性の差別化に躍起になっているだけに、個性的なクルマも少なくありません。そのうちに消えてしまう中国車も多いのでしょうから、興味があったら、いまにうちに中国モデルを探ってみると面白いかもしれませんね。

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