イタリアのハイウェイパトロール隊に配備される
スーパーカーファンならば、イタリアのパトロールカーといえば思い出すのが、「ガヤルド」から「ウラカン」に至る、一連の「ポリツィア」ランボルギーニだろう。ランボルギーニとイタリア「ポリツィア・ディ・スタート(Polizia di Stato=国家警察)」との緊密な協力関係は、その始まりから20年を迎えた今も連綿と引き継がれている。そしてこのほどアウトモビリ・ランボルギーニ社は、イタリアのハイウェイパトロール隊に「ウルス ペルフォルマンテ」を納車。セレモニーは2023年12月12日、ローマ内務省本部に面する広場、ピアッツァ・ヴィミナーレで行われた。
史上6台目となるランボルギーニ・ポリツィア
2004年春に、当時の最新モデルだったガヤルドが広報活動の一環として州警察に寄贈されて以来、2009年にはガヤルドLP560-4、2014年以降はウラカンが正式配備。ランボルギーニのパトロールカーは、イタリアではアイコン的な存在となってきた。
そしてこのほど、6台目のランボルギーニ製パトロールカーとしてハイウェイパトロール隊に導入されたウルス ペルフォルマンテは、すでに10万km以上のマイレージを重ねつつ大活躍してきたウラカンLP610-4に代わって、臓器や血漿の緊急医療搬送を含む特別サービスに使用されるという。
ウルス ペルフォルマンテは、666psのパワーと850Nmのトルクを発揮するツインターボV8エンジンを搭載し、0-100km/h加速はわずか3.3秒、最高速度は306km/hをマークする。そしてクラス最高のドライビングダイナミクスと相まって、2022年に北米「パイクスピーク・ヒルクライム」で市販SUVのベストタイムを更新するなど、前任のウラカンに対しても、パフォーマンスの点ではまったく見劣りすることはない。
警察車両としての装備に加えて臓器輸送にも対応
もちろんパトロールカーとしての任務に向けて、サンタアガタ・ボロネーゼのランボルギーニ技術陣によって、エクステリアから仕上げられている。カラーリングは「ランボルギーニ・チェントロスティーレ」によってデザインされ、イタリア警察のクラシックなブルーとホワイトを組み合わせ、トリコロールのバンドがシルとシートベルトにあしらわれている。
ドアには「POLIZIA」のロゴが反射フィルムで施され、ルーフには360°ブルーLEDライトを備えたライトバーと、2色の電動サイレンが取り付けられている。
いっぽうコックピットには、装甲された武器ボックス、フリップダウン式メッセージディスプレイ、トランク内のサービス機器収納用特別コンパートメント、救急対応用のAED機器など、公安業務に不可欠なさまざまな要素がカスタマイズされている。
しかし、このウルスでもっとも重要なのは、臓器輸送用のポータブル冷蔵庫が装備されていること。内部温度を継続的に監視するためのディスプレイと、専用のデータロガーも搭載されている。
ランボルギーニとイタリア国家警察の歴史に新たな1ページ
納車セレモニーの日、アウトモビリ・ランボルギーニ社の会長兼CEOであるステファン・ヴィンケルマン氏は、同年11月にアルファ ロメオ「トナーレ」がピエモンテ州警察に納車された際と同じくマッテオ・ピアンテドージ内務大臣の立会いのもと、ヴィットリオ・ピサーニ警察長官にウルス・ペルフォルマンテのキーを手渡した。
ヴィンケルマンCEOは、
「イタリア国家警察との20年にわたる協力関係を継続できることを、たいへん嬉しく思います。私たちのクルマが公的な任務、とりわけ人命救助のための重要な作戦に使用されていることを知ることは、私にとってもランボルギーニにとっても誇りです。私たちに大きな満足感をもたらしてくれるこれらの取り組みは、私たちが生来持っているイタリアとの緊密な結びつきを示しています」
というコメントを発し、ランボルギーニとイタリア国家警察の輝かしい歴史に新たな1ページが加わったことを、高らかに宣言したのである。