インテリアはタイカンからの流れをくむ最新デザイン
ワークショップの場で披露された新型マカンは、ボディは黒一色でまだエンブレム類などは一切装着されておらず、リアまわりは偽装されたいわゆるプロトタイプカーだった。フロントバンパーの形状が丸みを帯びている現行型に比べて、シャープなデザインになっていることがわかる。ボンネット左右のフェンダーの膨らみも立体的で、まるでスポーツモデルのようだ。ルーフからリアにかけてのラインは明らかに傾斜が低く、クーペスタイルがより一層強調されている。おそらくラゲッジスペースを多少犠牲にしてでも、このスタイリングを選んだということだろう。
インテリアはタイカン、そして新型カイエンの流れをくんだものになった。メーターパネルは12.6インチのフルデジタルの自立型カーブディスプレイを配置。ギアセレクターも同様にステアリングの脇に移設されている。インパネの中央には10.9インチタッチディスプレイを、そしてオプションで助手席にも10.9インチディスプレイを装着することが可能となった。拡張現実(AR)機能付きヘッドアップディスプレイや「ヘイ ポルシェ」で起動する音声アシスタントシステムなど、最新世代のインフォテインメントシステムを搭載している。
パワートレインはタイカンと同様に800Vのアーキテクチャーと永久磁石式同期電動モーター(PSM)を採用する。導入当初はエントリーモデルと最上級モデル(おそらくターボ)が投入される予定だ。最上級モデルのシステム出力は最大約450kW(約600ps)、最大トルクは1000Nm以上。駆動方式は全輪駆動で前後重量比は48:52とややリアよりに。トランスミッションはタイカンが2速なのに対して1速に。これによりコンパクト化が図られた。
床下には総容量100kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、WLTPモードによる一充電あたりの航続距離は500km以上に到達。前世代よりも約30%エネルギー密度を高めたバッテリーは、タイカンのものに比べても冷却能力が向上しており、最大270kWの充電能力を実現する。欧州の急速充電ステーションを利用すれば、22分以内にバッテリーを10%から80%まで充電することができるという。
オフロードも得意な「ポルシェ流ホットハッチ」
今回のワークショップでは、ライプツィヒ工場の敷地内にある「ポルシェ エクスペリエンスセンター」で助手席での同乗走行が許可された。ステアリングを握るのはポルシェのヴァイザッハ開発センターからやってきた本物のテストドライバーだった。
まずは全長約6kmのオフロードコースに進入する。ところどころに大きな穴や水たまりのあるダートコースを、まるでラリーカーのようにスライドさせながら走る。足まわりからは大きな突き上げなどなく、凸凹をとてもしなやかにクリアしていく。あとで覗き込んでみたところ、最上級モデルに設定される新設計のエアサスペンション装着車だった。
コースの途中には15ものテストモジュールがあるのだが、現行型マカンでは登れないという勾配約40°の急斜面もなんなく登りきった。そして水深50cm、長さ100mもある川のセクションにもためらいなく侵入し、水しぶきをあげながら渡りきるという、本格オフロードSUV並みの性能を備えていた。
全長約3.7kmのサーキットでは、さらに本領発揮だった。スポーツプラスモードにするやいなや、全開加速の後ハードブレーキでコーナーへとターンイン、そしてドリフトへの姿勢コントロールと、想像していた以上のダイナミック性能を披露。SUVというよりはポルシェ流ホットハッチなのだと思った。SUVであれ、電気自動車であれ、ポルシェがつくるのはスポーツカーなのだという矜持を感じるものだった。すでに日本国内でもテストが始まっているようで、先日、東名高速を走る偽装したマカンを目撃した。新型の登場を楽しみに待ちたい。