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1430万円とお買い得! ポルシェ「911」の「X51」パッケージがバーゲンプライス! ところで「X51」とはなに?

7万7050ポンド(邦貨換算約1425万円)で落札されたポルシェ「911カレラ 3.8 X51クーペ」(C)Courtesy of RM Sotheby's

非常に魅力的で入手しやすい1台だった

1993年に発表された993型のポルシェ911は、初代モデルから数えて4代目に相当するモデルだ。生産は1998年まで続けられるが、後継車の996型911の水平対向6気筒エンジンが水冷化されたため、993型は最後の空冷式エンジンを搭載する911として今でもその人気は高い。

新車時からX51オプションが装備されていた

今回RMサザビーズのロンドン・オークションに出品されたのは、1996年4月22日に、ドイツ・シュツットガルトの本社工場でラインオフした911カレラの「X51」仕様。当時レースで活躍していたカレラRS 3.8と共通のコンポーネントを厳選して装備した右ハンドル仕様である。ちなみにパワーキットであるX51パッケージは、993型911で初めてメーカー公認されたパッケージオプションで、その後の911でも常にポルシェのコンフィギュレーターリストの主役となった。

新車時からX51オプションが装備されたこのモデルは、生産から20年以上を経たにもかかわらず、内外装は十分に美しい状態にある。ドライバー側のレザーシートにしわが多く見られるのは、すでに現在までの間に6万6164kmの走行距離をオドメーターに記録しているからで、それは逆に考えれば全オーナーが日常的にこの911カレラを大きなトラブルもなく使用できたことを表している。

実際にこのクルマが登録されたのは1996年5月2日のこと。最初のオーナーはフォン・プリュッセン王子と記されている。そして2020年以降はレストア作業を担当したオーナーによって所有されており、そのヒストリー・ファイルも今回のオークションでは公開されていた。

このモデルが最大の特徴とする、パッケージオプションの話に戻ろう。このパッケージに含まれるものには、フロントで10mm、リアで20mmをローダウンするサスペンションキットや電動スポーツシート、ウインドウスクリーンのトップテイント、サンルーフなどがあるが、最大の見どころはリアに搭載されるパワーユニットにあった。

当時ポルシェは911カレラに最高出力285psの3.6L 水平対向6気筒エンジンを与えていたが、X51パッケージオプションを選ぶと3.8Lに排気量拡大され、最高出力は300psにまで増強することができたのだ。

G50/21型ギアボックスも、そのギア比がワイドレシオ化され、それもまたカスタマーからは好評を得たという。エクステエリアでは993RSのエアロキットを装備し、より理想的なエアロダイナミクスを実現。ホイールは18インチ径の「ターボツイスト」アロイホイールに、さらにエグゾーストシステムもスポーツタイプへと変更されている。

カレラバッジをつけた993世代の911にさらなるパフォーマンスを求めるカスタマーから、このX51パッケージオプションは大きな人気を集め、もちろんそれはすでにクラッシックとなった現在においても変わらない。

エスティメートを下回る結果に

今回オークション主催者のRMサザビーズは、8万ポンド〜10万ポンド(邦貨換算約1480万円〜1850万円)の予想落札価格を提示し、しかも最低落札価格なしという条件でこのモデルを出品。実際の落札価格は7万7050ポンド(同1430万円)という結果になった。ポルシェ911の空冷時代、その最終型を可能なかぎり最高の形と仕様で購入したいと願うポルシェの愛好家にとっては、非常に魅力的で入手しやすい1台だったのではないだろうか。

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