馬力の表記いろいろあるけど何が違うの?
自動車メーカーがそのクルマのプロフィールとして用意しているのが、カタログスペックというものだ。ボディサイズなどの寸法をはじめとしてエンジンスペックも載っていて、なかでもパワー、つまり馬力はクルマ好きなら興味あるポイントだろう。
昔は「ps」、今は「kW」表記
馬力については現在、カタログを見ると、今までお馴染みの「ps」単位に加えて「kW」が併記されている。かなり浸透してきたとはいえ、いまだにpsのほうが馴染みはあって、軽自動車ではまだある馬力規制は64ps規制のほうがピンと来るし、500psオーバーという表現もグッと来る。
そのほか、海外の資料や雑誌などを見ると出てくるのが「CV」や「hp」、「bhp」で、どういった単位なのか、どんな関連性があるのかさっぱりわからなかったりする。
まずkWから見ていくと、そもそも使われるようになったのは1999年の新計量法がきっかけで、国際単位系である「SI」単位系を使用しなくてはならなくなったから。たとえば天気予報で「ヘクトパスカル」に変更されたのも同じ理由だ。
ただ、よく言われるのは、日本はこの点は律儀で、海外では長さのインチや重さのポンドなどは今でも使われていて、厳密に従ってはいなかったりする。そのため、先に紹介したCVやhpなどを見かけるというわけだ。
「馬力」の呼び方は国によっていろいろ
psはもともとフランスで使われていたもので仏馬力と呼ばれる単位。ただし、psの由来はドイツ語の「馬の力」ながら、単位内容がフランスのものなので、仏馬力と呼ぶからややこしい。そして同じ馬力でもHP(ホースパワー)は英馬力と呼ばれ、イギリスやアメリカでよく使われていて、元植民地も含めたイギリス連邦でも見かけることが多い。bhpとも書くが、その場合は小文字が一般的。内容としてはHPと同じで、bはブレーキを指していて、もともとブレーキを使った測定方法だったことに由来する。
kWとpsの関係は、1ps=0.735499kWで、逆は1kW=1.35962psなので、計算がかなり面倒。さらに同じ馬力でも仏馬力と英馬力ではわずかながら差があって、1ps=0.98632HPとなる。このふたつは変換するほどの差はないので、HPを見かけたらpsにそのまま置き換えても問題はないだろう。
そしてCVはイタリアで使われる単位で、キャバレロ・ヴァポーレの頭文字。意味としては馬蒸気になって、今でもイタリアンスーパーカーのスペックで見かけることもある。ただ、単位的にはpsとまったく同じなので、知っていれば混乱することはない。