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青ヘッドの日産「パルサー」を発見!「プリメーラ」と間違ってしまう「VZ-Rセダン」を「当時の装備に戻して90年代の雰囲気を目指してます」

パルサーシリーズとしては5代目となるN15型。1995年から2000年まで生産された

ホットハッチ好きが選んだ日産テンロクセダン

90年代の車両が集まった「福岡キューマルミーティング」。会場には、ノーマルからドレスアップ&チューニングなど、様々な車両が並んでいる中で、時々「こんなクルマもあったね!」と頭の片隅に僅かに残っている記憶を呼び覚ます車両もちらほら。そんな希少車の中で、当時各社が1600ccNAエンジンで凌ぎを削った時代の、日産の懐かしクルマを紹介する。

SRエンジンでも排気量は1596cc

「知り合いのお店に委託販売で店頭に並んでいたのですが、最初はプリメーラかと思いました(笑)」

この車両オーナーの西島翼さんは、そう笑いながら話し始めてくれたが、実は筆者も全く同様の質問を初対面の西島さんに投げかけている。

「これってプリメーラのどんなグレードでしたっけ?」

「いや、これはパルサーです! でも、同じようなことは皆さんからよく言われます(笑)」

そうなのだ。このクルマは日産「パルサー」(5代目N15型)のVZ-Rセダン。1997年(平成9年)9月のN15型のマイナーチェンジに伴い設定された車種で、2000年9月まで生産。通称“青ヘッド”と呼ばれるSR16VEエンジンが搭載されている。

日産のSRと言えば、一時代を築いた同社の直列4気筒エンジンで、SR20DETに代表されるように「シルビア」(5代目〜7代目/S13/14/15型)や「180SX」など、走りを楽しむFR車に縦置き搭載されたものをイメージする方が多いはず。

一方、このSR16VEは、排気量1596cc、可変バルブタイミング&リフトのNEO VVL初搭載のNAのみ。FF車搭載を視野に入れていたため、横置きであることが特徴。しかも“青ヘッドは”175馬力を生み出す標準型であり、当時、N1耐久レースなどに参戦するためのベースとして200馬力を発生させた“赤ヘッド”とは異なるものだ。ただし、いずれもプレミアムガソリン(ハイオク)仕様で、5速マニュアルのみのマニアにはウケるエンジンなのだ。

ノリで選んだちょい速セダン

その存在さえ忘れられてしまいそうな「パルサー」VZ-Rを購入した西島さんは、元々はコンパクトハッチが好き。実は、2004年式トヨタ「カローラランクス」のTRDスポーツMも所有しているという。この車両も排気量1795ccの2ZZ-GEエンジン搭載で、205馬力を発生。しかも6速マニュアルのみの設定という車種だけに、西島さんの好み度合いが理解できるはず。

「なんとなく気になって、買っちゃいました」

というコメントからも、完全に勢いで購入したのが想像できる。しかし、“テンロク”、“NA”、“マニュアル”というのは、トヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」(4代目AE86系)やホンダ「シビック」(3代目Si)などが、1980年代中盤から築いてきた日本を代表する小型スポーツ車の系譜に属する。しかもそれが、日産車であり、さらにマイナーなセダンとなれば、コンパクトハッチ好きが浮気心で興味を示すのは、とても納得がいく。

VZ-Rが誕生した、時代性重視のこだわりカスタム

西島さんのパルサー VZ-Rの楽しみ方は、“このクルマが生まれた時代ならではの、現在から見ると古臭く感じる部分を演出する”というもの。

例えば、ヘッドライトはHIDが装着されていたためハロゲンへ。社外ホイールが装着されていた足まわりは純正へと戻す。そして、ナンバーは字光式。しかも、現在の字光式では当たり前のLEDを使わずバルブ式を使用。さらに、ナンバーは分類番号が「500」になるように希望ナンバーはあえて選ばないという、徹底したこだわりが表現さている。

「1998年式なので、その当時一般的だった装備に戻しているイメージですね。HIDやLEDは、あの時代にはまだまだ主流ではなかったですから。ナンバーも、本当は分類番号を2ケタにしたかったんですが、それは現実問題で不可能。それならば、できるだけ当時っぽい雰囲気を目指すには500にするのが一番。ということは、希望ナンバーを選ぶとダメなので、通常申請で割り当てられる普通のナンバーをあえて選んでいます」

希望ナンバー制度が全国で実施され始めたのは1999年。これを取得すると、分類番号の下2ケタは“00”ではなく他の番号へと変わってしまう。しかし、西島さんの愛車は1998年式。これでは辻褄が合わなくなってしまうというわけだ。

「九州では自分以外でこのVZ-Rセダンを見かけたことが無いですし、珍しいエンジンなので、実際に乗っている人にいつかお会いしたいです!」

この西島さんの願いが叶えられる日が来るまで、このこだわりを変えることなく、ずっと持ち続けてほしいと強く思った取材だった。

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