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2023年最後のレースイベント「Goodyearドリームカップ」を制したのは4連覇の「神奈川トヨタ☆DTEC GR86」でした

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TEXT: 岡村神弥(OKAMURA Shinya)  PHOTO: 石原 康

  • 給油はエンジンを停止しマシンを押して給油機へ。給油後も再びマシンを押して退場。給油は同時に2台だけなので、給油渋滞が発生すると大幅にタイムロスするため、上位チームでは給油所の混雑状況をモニタリングする担当者を配置する
  • ここでもタイヤ選びは重要だ。ラップタイムを維持しながら燃費を抑えるには、コーナーは限界ギリギリ、ストレートスピードをセーブというバランスになる。No.98神奈川トヨタは86Cupのプロクラス用ブリヂストン、ポテンザRE-09Dを使用した。グリップが高いので走行抵抗は大きそうだが、そのハンデはノウハウで克服できるのか??
  • 堅実な走りで2位表彰台を得たNo.601 KONG RACING GR86。カローラ名古屋のNo.758 GRG日進竹の山GR86は、タイヤの選択もあって予選から苦戦する流れになり、終盤のレース再開で4位へと転落してしまった
  • 旧型での参戦となったNo.50 ATRACT/K BRZはキッチリとペースコントロールを行いクラス優勝。総合でも多くのGR86を抑えて2位となった。DreamCupではまだまだ競争力がありそうだ
  • 2位のポジションを長く走っていたのはNo.22ファルコンレーシングチームBRZ。レース再開時に758号車を交わして3位表彰台をゲットした
  • 4連覇、通算5勝目を達成したNo.98神奈川トヨタ☆DTEC GR86の元嶋佑弥選手(左)と柴田優作選手(右)。個人でもそれぞれ3勝、2勝を挙げている
  • 今年のゴールシーンは雨。4周もの大きな差を付けていた98号車にとっては、最後のレース再開もまったく問題としなかった
  • 予選のルールが変更になったことで、一般的なレースと同様に、速いマシンが前からのスタートとなった。ヤリス&ヴィッツは後方へ別けてのスタートで、ロードスターは86勢と一緒だったのだが、レースペースはヤリスよりもやや遅く、すぐにヤリスの車群の中へ吸い込まれてしまった

FSWで開催される年末最後のレース

毎年恒例、年末最後のレースイベントである「Goodyearドリームカップ」。2023年も12月16日に富士スピードウェイで開催された。2011年にスタートしたナンバー付き車両による6時間耐久レースで、2020年の中止をはさみ、今回が12回目の開催となった。当初はトヨタ「ヴィッツ」だけだったが、2014年からは「86/BRZ」が加わり、2021年には「ヤリス」が参入、2022年は「GR86/BRZ」も加わった。そして今回はマツダ「ロードスター」が新参入。マシンレギュレーションは、それぞれのワンメイクレースに準じているので、シーズンを戦ったマシンそのままで参戦することができる。

5車種6クラスでの6時間耐久レース

ヤリスがMTとCVTで分けられ、5車種6クラスでのレースとなった。エントリー費用は約13万円で、6時間のスポーツ走行だと思えば割安。仲間4人で割れば約3万円+αで、正当なレースとして楽しめるのだから参加のハードルは低い。特徴的なルールとしては、給油する場合はピット滞在時間7分以上が必要となっている。

給油はパドック内のガソリンスタンドで行うために渋滞する場合があり、消費時間を大きくすることで余裕を与え、安全性を確保するのが目的だ。また1度に給油できるガソリンの量は、86勢が25リッター、それ以外が20リッターに制限されている。給油が1回増えると7分、周回数にして約3周+のタイムロスとなるため、燃費も無視できない。使用タイヤも3セットに制限されているので、86勢ではタイヤへの負担も気になるポイント。ペースコントロールを含めて、戦略的に取り組まなければならないのだが、それがまた、このレースの面白さでもある。

2023年のエントリー台数は63台。2022年が47台、2021年が42台だったから、大盛況といったところだろう。その内訳は、GR86/BRZが5台、旧型86/BRZが2台、ロードスターが6台、ヤリスが35台、ヤリスCVTが6台、そしてヴィッツが9台となった。人気の高いヤリスカップからの参戦が多いのは当然なのだが、一方でGR86/BRZが少ないのは、トラブルがあった場合に来シーズンに向けての新車の納車に不安があるためらしい。

98号車 神奈川トヨタ☆DTEC GR86が3連覇中

総合優勝の最有力候補は98号車 神奈川トヨタ☆DTEC GR86。なにしろ2019年から3連覇中で、通算4勝を挙げている常勝チームだ。ドライバーラインナップも、元嶋佑弥選手と柴田優作選手のコンビで、このチームのノウハウが後押ししなくても優勝争いを展開するに違いない。

対抗馬はGR86/BRZではなく、旧型86/BRZの50号車ATRACT/K BRZが有力。ラップタイムでは明確な差が出てしまうが、ドライバーに吉田隆ノ介選手と加藤潤平選手が加わっているのが大きい。耐久レースだからこそ、ドライバーの実力が大きくモノを言うのだ。残念なのは、エンジン排気量が小さいものの、燃費でそれほど優位性がないこと。

ベストなタイミングで給油できればチャンスとなる

6時間もの耐久レースだけに、セーフティカーが何度も登場するレースもあった。そのタイミングで給油中だったりすると、タイムロスが大幅に小さくなる。そういった混乱をチャンスにすることができたチームが優勝、ということも十分にあり得る。そういう意味ではヤリスが総合トップを獲得するケースも考えられる。レースラップでは、ペースコントロールが必要なGR86と、ほぼ全開で走れるヤリスの差は4秒前後と想定されていて、150周で600秒の差が生れる計算だ。給油回数でヤリスが1回少ないので420秒を差し引くと、180秒となる。ヤリスにも勝機はある。

そのヤリスで優勝争いを展開しそうなのは、123号車NETZ富山Racing Yarisと、1号車N中部GRGミッドレススノコ制動屋Yarisの2台。ネッツ富山は2021年から2連勝中で、ドライバーも松井宏太選手と水野大選手がアシストするという布陣。ネッツ中部ミッドレスはエースの神谷裕幸選手を含めて全員が社員ドライバーだが、2013年から4連覇を達成しているチームだ。

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