予選のポールポジションは98号車の元嶋佑弥選手だった
レース前車検で給油口のリッドに封印がされて予選を戦い、そのまま給油できずに決勝レースがスタートする。そのため昨年までは予選をスローペースで計測だけするチームが多かった。しかし今回からはクラス毎に予選上位3台の平均の110%以内でないと予選落ち(=ピットスタートとなるので1周遅れとなる)というルールとなったため、1ラップのみとはいえ普通のペースでの予選が展開された。
天気予報では前夜からの雨が上がるはずだったのだが、朝の公式予選ではまだ雨が降り続いていた。ポールポジションは98号車 元嶋佑弥選手で、2番手601号車 三觜正人選手に8秒近い差をつけた好走。3番手にはなんとヤリスの1号車 神谷裕幸選手が食い込んだ。
例年なら寒さに凍えて、ヒーターで温められたピットに長居したくなるのがドリームカップなのだが、今回は初冬としては暖かい気温だった。決勝レース前には雨も上がっていたものの、路面はウエットのまま。なかなかドライ路面にはなりそうにない。
ポールポジションからスタートした98号車 元嶋佑弥選手は、そのまま後続を一気に引き離しにかかる。しかし乾いていくウエットの路面、イージーにペースを上げるわけにもいかず、後続のマシンたちも引かずにピタリと食いついて来る。20周目に柴田優作選手へとドライバー交代。ライバルたちもほぼ同時期にドライバー交代をしたことで、トップをキープ。37周目に1回目の給油で7分の休憩となり、無給油で走り続けるヤリスクラスの1位、123号車 NETZ富山に総合トップを明け渡す。彼らが最初の給油となった53周目にトップに返り咲く。
その頃には後続のマシンとの差はかなり大きくなっていた。それでも、時として10秒以上もペースを大幅に落としての走行となったが、それは周回遅れをパスする時に十分な、万全なタイミングまで待ったためだ。もはや神奈川トヨタチームにとっての唯一最大の敵は、アクシデントでしかなかったのだ。
天気までも味方につけた神奈川トヨタGR86
61周目の2度目の給油でも、同じGR86/BRZクラスを戦う22号車ファルコンレーシングにトップを譲るが、63周目に彼らが給油に入ったために総合トップへ復帰。おそらくラップタイムでも、燃費でもクラストップだったのだろう、リードをどんどん拡げていく。
レースは5時間を経過したあたりで、再び雨がコースに降り注いだ。冷たい雨は大幅にグリップを低下させるのだが、幸運なことに前日の練習走行が雨だったため、多くのドライバーはウエット路面には対応できていたのだろう。それでもコースアウトするマシンは出てしまい、残り29分という最終局面でセーフティカーとなった。
毎回このレースではギリギリ間に合わないと判断し、最後に給油するチームやペースを落としてチェッカーフラッグまで燃料を持たせようとするチームが出現するのだが、今回はそういう事態は起きなかった。この最終局面でのセーフティカーによるスローな周回によって燃料は一気に楽になったからだ。
雨は一向に弱まらなかったものの、残り7分でレースは再開。最終的に98号車 神奈川トヨタは2位601号車KONG RACINGに対して、給油1回分以上に相当する4周もの差をつけてポール・トゥ・ウィン。4連覇を達成することになった。ヤリスクラスでは、最後に追い上げて逆転優勝を狙っていた1号車ネッツ中部ミッドレスだが、セーフティカーによって阻まれてしまい2位。クラス優勝は123号車ネッツ富山となり、こちらもクラス3連覇となった。