いまなおBMWファンには憧れの1台
2023年11月4日、RMサザビーズがドイツ・ミュンヘンで開催したオークションにおいてBMW「M3 スポーツ エボリューション」が出品された。今回はいくらで落札されたのか、同車について振り返りながらお伝えしよう。
DTMで大活躍したM3
BMWのファンにとって、今もなお記憶に残るサーキットでの勇姿といえば、1982年からグループAカテゴリーで行われることが決定したヨーロッパ・ツーリングカー選手権(ETC)や、それを受け継いだドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)ではないだろうか。
グループAカテゴリーとは、連続する12カ月間に5000台以上(のちにそれは2500台に改められるが)の生産を行った、4シーター以上のシートを持つモデルによるもので、レースに出場するための改造もかなり狭い範囲に限られていた。スポーツイメージを重視するBMWが、それに興味を示さないわけはなかった。
直接のライバルはもちろんメルセデス・ベンツ。1983年には190E 2.3-16をデビューさせグループAの公認を得ると、その後も2.5-16、エボリューションI、エボリューションIIと進化させていった。
一方のBMWが、グループAレースのためにE30型M3で公認を得たのは1986年のことである。E30型3シリーズの2ドアセダンをベースにするとはいえ、そのボディデザインは大幅に変更され、よりワイドなタイヤを装着するためにブリスターフェンダーを採用するなど、スタンダードなE30型3シリーズと共通のボディパネルは、ボンネットとルーフパネルを残すのみになった。
エアロダイナミクスをさらに改善するため、Cピラーの角度を変更しトランクをハイデッキ化。大型のリアウイングを装備したのも最初のE30型M3の特徴だった。
エンジンは2.3Lの直列4気筒で最高出力は195ps。ゲトラグ製レーシングパターンの5速MT、もしくはZF製ノーマルパターンの5速MTのいずれかがこのエンジンには組み合わされた。