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「カウンタック」や「BB」は無理でもマセラティ「ボーラ」なら夢が叶う!? 約1700万円でスーパーカー泥沼ライフはいかが?

「カウンタック」や「BB」は無理でもマセラティ「ボーラ」なら夢が叶う!? 約1700万円でスーパーカー泥沼ライフはいかが?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

ボディカラー変更は、時として価格引き下げの要因となる?

1972年7月12日に製造されたというこのボーラは、4.7リッターV型8気筒エンジンを搭載した289台のうちの1台。「CECICOエクイップメント」社CEOであるロベール・オージェの名義のもと、1972年10月26日にパリで登録された。

ジウジアーロがデザインしたボディワークは「アルジェント・インディアナポリス」と名づけられたシルバーメタリックにステンレスのルーフ。そして「ネロ(黒)」のレザーハイドによるインテリアが組み合わされていた。

それから12年後となる1984年7月まで、このボーラは5代のオーナーのもとを渡り歩く。フランス中央部ショーモンに住んでいた6代目所有者は、1986年11月25日、ベルナール・バブロンにマセラティを売却した。パリを拠点としていたバブロンは、1986年から2007年にイタリアのプライベートコレクションに加わるまで、このボーラを独力で維持していたようだ。ボディカラーを現在のジャッロ(黄色)にリペイントしたのも、バブロンと考えられている。

そして2014年、イタリアのディーラーにオークションで売却されたのち、2015年5月に今回のオークション出品者である現オーナーに売却された。

現オーナーのもとでは、ステアリングラックの修理と取り付けや4基のキャブレターのリビルド、ブレーキシステムのメンテナンスなど、6000ユーロに相当する整備がミュンヘンの「クビッキ・モータース」によって行われたとのことである。

スーパーカー界の創成期を盛り上げたスーパースター、ランボルギーニ クンタッチ&フェラーリBBと比べると、ちょっと地味。玄人好みなボーラは見過ごされがちなモデルだが、1970年代初頭のイタリア車デザインの最高峰であることは間違いあるまい。

しかも希少な初期モデルということで、RMサザビーズ欧州本社は11万ユーロ〜16万ユーロのエスティメートを設定。その上で「Offered Without Reserve」、つまり最低落札価格は設定しなかった。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることからオークション会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むこともあるのがメリット。しかしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、一定の時点で落札されてしまうというリスクも内包している。

そして迎えた11月25日の競売では、エスティメート下限に満たない10万8500ユーロ、日本円に換算すると約1700万円という、出品者側にとっては少々厳しいが、バイヤーにとってはなかなかのお買い得ともいえる価格でハンマーが落とされることになった。

ここ1〜2年、15万ユーロあたりで取り引きされる事例の多かったマセラティ ボーラとしてはリーズナブルな落札価格について、様々な要因が想像される。やはりボディカラーを好みの分かれるイエローに変えてしまったことが、少なからず影響しているとも思われるのだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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