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トヨタ「GR86」とスバル「BRZ」が一部改良「C型」に進化! 新グレードと特別仕様車など徹底解説します

一部改良/C型でGR86らしさ、BRZらしさを強調するカタチになった

今回の一部改良/C型でそれぞれの個性が明確になった

GR86&BRZが現行型になり、2度目の一部改良が行われた。いわゆる「C型」と呼ばれるモデルだ。BRZの変更点はわずかだが、GR86は乗り味を変えるほどの変更があった。また、BRZには「STI Sport」グレードが新に追加になり、GR86にはAE86の生誕40周年特別仕様車が発表された。

(初出:XaCAR 86&BRZ magazine Vol.042)

ついにMT車にもアイサイトが標準搭載されることになった

GR86/スバルBRZが2回目の改良を実施(1回目の改良=B型は微々たる変更だったので公式発表されず)。今回の変更部位は細かい部分が中心だが、多岐に亘っている。両モデル共通の変更は「MT車へのアイサイト採用」と「ステアリングのハンズフリースイッチの標準設定」だ。

MT車専用に開発された「アイサイト」は非常に高性能だった

MT車へのアイサイト追加がC型の最大の変更点となる。AT用を流用と思われがちだが、システムとしてはMT用として新たに開発されたもの。AT用に対して誤発進/誤後進抑制機能や後退時ブレーキアシスト機能の非採用、ACCは2~6速かつ30km/h以上で作動、プリクラッシュブレーキ作動時のブレーキ保持が約3秒と、AT用と比べると機能が若干異なる/制限がある部分もあるが、「滑らかで違和感のない制御」、「高い認識性能」、「確実な作動」はアイサイトの名に恥じない仕上がりだ。

ネットではアイサイト搭載による重量増を気にする人が多いようだが、じつはステレオカメラを含めたシステム全体重量は約700~800gなので、運動性能に関しては“ほぼ”影響はないと考えていいだろう。

チューニング派には「どこまでローダウンできるか?」が気になるところだが、公式見解は「確実に作動するのはノーマル車高」という一方、「ある範囲まではテストを行って確認はしている」とのことだった。このあたりは明確になると嬉しいポイントだ。

アイサイト採用に合わせて、GR86はブレーキ鳴き対策を実施。従来モデルは「鳴きより性能を重視」だったが、ドライバーのブレーキ操作時の鳴きはともかく、アイサイトのACC作動時にクルマ側が自動でブレーキするときに鳴くのはマズい……と判断したそうだ。

アイサイトに関する詳細は後述するが、他のMT車には早いタイミングで運転支援デバイスが設定されていたので、個人的には「やっと設定された」というのが本音である。ただ、アイサイトの名を冠していることからもわかるように、性能に関してはトップレベルなのは間違いないだろう。これ以外はGR86/スバルBRZ独自の変更だが、変更箇所が多いのはGR86のほうである。

GR86は電子スロットル出力特性の変更で走りのテイストが変わった

ソフト側の変更は全車対応だ。ひとつめは「電子スロットル出力特性変更」である。GR86のスロットル制御は“意図的”に加速感を際立たせた特性だが、それが故にアクセルコントロールが難しいという評価も……。そこでC型は従来の特性を活かしながらも加速Gの繋がりをより“リニア”な方向に再チューニングしている。

もうひとつは「VSC制御の最適化」だ。従来モデルはVSCがONでもある程度の挙動変化を許容する制御だったが、C型ではその制御をより安心/安全方向(=より早いタイミングで介入)に変更した。

これは挙動変化(=スライド走行)を楽しむ人はVSC OFF/TRACKモードを選択するので、VSCとしての機能をより明確にしている。とはいっても、サスペンションやEPSの設定は従来モデルから変更されていないので、GR86のメリハリあるハンドリング特性は不変。つまり、今回の変更は日常で少々ヤンチャに感じた特性を“少しだけ”大人な方向にアジャストされたわけだ。

GR86はZFダンパーとブレンボの赤キャリパーをオプション設定

ハード側の変更は、SZ/RZに「ブレンボブレーキ(赤キャリパー仕様)」と「ZF(SACHS)ダンパー」をメーカーオプション設定。開発責任者の藤原裕也氏は次のように語っている。

「GR86はBRZに比べてFRらしいメリハリのあるクルマの動きを目指してセットアップしていますが、それが故に日常域での乗り心地に指摘がなかったと言えば嘘になります。そこでZFダンパーはGR86としてのスポーツ性能を犠牲にすることなく乗り心地も考慮した、ある意味“わがまま”な仕上がりを目指しました」

さらに今回の改良に合わせて、特別仕様車「40th Anniversary Limited」を用意。このモデルはGR86の先祖となるAE86(カローラレビン/スプリンタートレノ)生誕40周年を記念したモデルで、RZをベースに内外装にAE86を知る人が見ると思わすニヤッとしてしまうような特別なアイテムをプラス。加えて、ノーマルではオプション設定となるブレンボブレーキとZFダンパーが標準装備となる。

ただ、限定200台の商談抽選受付はすでに終了しており、今から「欲しい」と思っても買えないのが残念だ……。

BRZには新グレードのSTIスポーツが加わった

一方、BRZは通常グレードの変更はなく、「STIスポーツ」の追加が最大の変更点となる。STIスポーツは先代にも設定されていたBRZのフラッグシップグレードで、スバル/STI社共同開発の量産コンプリートカーという位置づけだ。その内容は大人の琴線に触れる内外装や走りの質を高める専用アイテムがプラスされている。

エクステリアはブラック/チェリーレッドのワンポイントやダークメタリック塗装のアルミホイール、インテリアはSTIスポーツ共通となるボルドー/ブラックのコーディネイトと専用ダークキャストメタリック加飾で差別化。さり気ない変更だが、解る人には解る個性と特別感がプラスされている。

フットワークはフロントダンパーに日立アステモ製SFRD(周波数応答型)を用いた専用セットアップのサスペンションを設定。SFRDはシリンダー内部に小ストローク(高周波振動)用と大ストローク(低周波振動)用のふたつの油圧経路を持ち、路面状況や車両挙動に応じて減衰力をメカニカルに可変させる。ノーマルよりもしなやかな足の動きを活かした懐の深いハンドリングと質の高い乗り心地を両立している。

GR86らしさとBRZらしさを際立たせるような一部改良

走りを取りまとめた藤井忠則氏は、次のように語る。

「GR86が採用したZFダンパーも検討しましたが、BRZが目指す走りの方向性を考えた結果、SFRDがベストと判断しました」

要するにFRスポーツでありながらも、スバルが提唱している「グランドツーリング性能」をより磨きあげた走りに仕上げられているようだ。さらにメーカーオプションとなるがブレンボ製ブレーキシステムも設定。ちなみに「ゴールド+レッド文字」のキャリパーは、GDBインプレッサ以来となるコーディネイトとなる。

このように変更ポイントを見ていくと、よりGR86らしさ、よりスバルBRZらしさが増したように感じる。今回は、プロトタイプということで、しっかり試乗することは適わなかったが、次回は比較試乗を行う予定だ。乞うご期待!

GR86主な改良内容

【機能・安全装備】

・MT車にアイサイトを標準設定
・ステアリングにハンズフリースイッチを標準装備、走行中のハンズフリー通話に対応
・ブラインドスポットモニターをSZグレードに追加オプション設定、RZグレードは標準装備
・VSC制御最適化によるコーナリング時の走行安定性・安全性能向上

【走行性能】

・brembo製ベンチレーテッドディスクブレーキ(SZグレード以上にオプション設定)
・SACHS(ZF)アブソーバー(SZグレード以上にオプション設定)
・電子スロットル出力特性の変更によるコントロール性の向上

GR86価格

グレード:MT/AT

RZ:347万6000円/357万4000円
SZ:315万3000円/325万1000円
RC:291万6000円/−

BRZ主な改良内容

・MT車へのアイサイト標準装備
・VDC(ビークルダイナミクスコントロール)の制御を最適化
・Rグレード装着の17inchタイヤの新パターンタイヤ採用

STI Sportグレードの主な仕様

【足まわり/メカニズム】

STIチューニング日立Astemo製SFRDフロントダンパー、STIチューニングリアダンパー、215/40R18ハイパフォーマンスタイヤ&18inchアルミホイール(ダークメタリック)、brembo製17inchフロント&リアベンチレーテッドディスクブレーキ(ゴールドキャリパー)メーカーオプション

【エクステリア】

フルLEDヘッドランプ(BRZチェリーレッドレターマーク付き)、電動格納式リモコンドアミラー&ルーフアンテナのクリスタルブラックシリカ、STIエンブレム

【インテリア】

BOXERメーター(ボルドーリング加飾/STIロゴ入り)、ウルトラスエード/本革シート、シフトまわり加飾、ヒーターコントロールダイヤル&スイッチ(ダークキャストメタリック)、STIプッシュエンジンスイッチ、メーターバイザー&ドアトリム&ショルダーパッドのブランノーブ表皮巻+レッドスイッチ

BRZ 価格

グレード:MT/AT

R:330万円/335万5000円
S:348万7000円/354万2000円
STI Sport :376万2000円/381万7000円

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