新型トライトンが2024年2月に日本発売、価格は498万円~
三菱自動車は2024年2月より新型「トライトン」を12年ぶりに日本国内で発売すると発表した。トライトンは1978年は発売された「フォルテ」をルーツとするピックアップトラック。5世代にわたり約560万台が生産され、世界の約150カ国で活躍してきた。そんな新型トライトンはすでに2023年7月よりタイで発売が開始。そもそもこのトライトン自体がタイ工場で生産されるモデルなのだ。日本で発売されるのは前後に人が乗れるダブルキャブ仕様で、すべてが4WDというパッケージとなる。
先進の本気モード4WDにタービン2基搭載のディーゼルターボ
エンジンは新開発の4N16型クリーンディーゼルエンジン。2439ccのディーゼルツインターボだが大きさの異なる2つのタービンが装備されていて、回転数と負荷に応じて使い分けるシステム。低回転から過給して、高回転でも伸びを狙うのは当然だが、トライトンの場合は標高の高い所でもこのシステムがあれば全域でパワーが得られる。そう教えてくれたのは、パリダカ覇者であり、トライトンの開発に携わる増岡 浩氏。
世界戦略車でもあり本気の悪路で使われるクルマなので、標高が高い所での性能が必要としてこのツインターボシステムが採用されているあたりが、さすが三菱自動車といえよう。
さらに駆動を伝えるシステムにも力が入っている。三菱といえば「ランサーエボリューション」などに使われた4WDシステムの先進性が光るメーカーだが、トライトンではスーパーセレクト4WD-IIを搭載。これは後輪駆動の2H、フルタイム4WDの4H、センターデフ直結の4HLc、そのローギアード版である4LLcという4種類の4WDモードを搭載。
100km/h以下であればダイヤルによって4WDと2WDの変更が可能だ。センターデフは4Hモードではフロント40%、リア60%の配分で駆動力を伝える。センターデフを直結にすれば前後に50%ずつの駆動配分となる。さらにトルク感応式LSDも備えている。
そのシステムにはAYCも搭載。AYCとはアクティブヨーコントロールのことで、コーナリング時に内側タイヤより外側タイヤにたくさん駆動力を伝えてグイグイ曲がるシステム。いわゆるキャタピラ的な発想ではあるが、三菱重工が戦車を手がけていることと関係があるのだろうか。
トライトンでは駆動力は変わらないが、ブレーキを制御することでAYCの効果を発揮。コーナリング時に内側タイヤにブレーキを掛けて曲がりやすさをアップしている。「パジェロ」譲りの本気モード4WDが搭載されているからこそ走りも本気。その楽しさも本気なわけだ。
さらに、それぞれの4WDモードに対応する7つのドライブモードを搭載。「NORMAL」、燃費向上に効果的な「ECO」、4Hモード内に「GRAVEL」と「SNOW」、4HLcにはトラクションを引き出す「MUD(泥濘)」、「SAND(砂地)」、4LLcには「ROCK(岩場)」というモードが用意される。
たとえばMUDならあえてスリップさせながら泥沼から脱出できるようにセッティングされ、SNOWは2速発進するなど味付けされている。そのあたりは世界で使われる前提とはいえ、本気も本気である。もちろんそういった走行テストは世界の増岡氏が担当している。
日本では快適なダブルキャブ仕様のみで展開
室内は5名乗車。後部座席は広いとはとても言えないが、一般的なセダンの後部座席くらいの広さは確保している。5名乗車ではちょっと狭いが、4名乗車なら十分に乗れる程度だ。後部座席の背もたれの角度も同じような車格のクルマに比べて寝ていて、直角シートではないので普通に快適だ。
しかも、天井には前の空気を後部座席に送ることでエアコンが効くようにサーキュレーターまで装備。リアシートの快適性が大幅にアップしている。
そして荷台。バイクを積むには長さが足りないが、スノーボードやスキーなど気軽に載せられる広さと長さは十分にある。遊びやキャンプのグッズを気にせずブン投げて置ける十分なスペースがある。
キャンプやレジャーに行って、ちょっとした汚れや濡れているのも構わずにドンドンッと載せて帰れるのは、ワゴン車にはない大きな魅力。大人遊びにピッタリの大型オモチャがトライトンなのだ。
遊びの相棒としては最強かも!?
そんなワイルドな使い方を許容しながらもエンジンは最新で、なめらかで快適にパワーとトルクが引き出せる。トランスミッションは6速ATで全域での扱いやすさを確保する。
新開発のラダーフレームは超ハイテン鋼を採用して剛性と軽量化を実現し、キビキビとした走りをもたらす。足まわりはダブルウィッシュボーン+軽量化したリーフスプリング式。大径ショックアブソーバーによって悪路でも十分な剛性と容量を確保して快適な乗り心地を実現した。
ワイルドな見た目とは裏腹に繊細な走りを実現するエンジンと駆動、そして最新のフレームと足まわり。わんぱくな男の子のようなキャラクターなのに、中身は繊細な淑女のよう。そんな楽しめて心強い相棒がトライトンなのだ。
そして、そんな最高の遊びの道具の車両価格は、「GLS」が498万800円(消費税込)、上位グレードの「GSR」が540万1000円(消費税込)。クルマの高騰化が著しい昨今においてはかなりのバリューなプライスと言えるのではないだろうか。