極彩色の砂漠と化石の森を貫くルート66
広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、ニューメキシコ州からアリゾナ州へ入ります。今回はルート66を外れずにそのまま行ける絶景スポット、ペトリファイド・フォレスト国立公園を紹介します。
三畳紀の植物の化石「珪化木」が美しく残る
ルート66の旅はニューメキシコ州からアリゾナ州へ。個人的に一番思い入れがある州であり、また見るべき名所も豊富だと思っている州だ。最初に立ち寄るのは年間で約60万人が訪れる、広大なペトリファイド・フォレスト国立公園。日本語で「化石の森」を意味している。ほぼ中央を東西に貫いてかつてのルート66、今のインターステート40号線が走っており、最寄りの町は少し西に位置するホルブルックだ。
ペトリファイド・フォレスト国立公園は大きくふたつの区画に分けられ、まず1906年に名前の由来でもある化石の多い地域が国定公園に指定され、後に北部のペインテッド・デザートが編入され国立公園へと昇格した。
長きにわたりルート66上にある唯一の国立公園だったが、最近になってミズーリ州のゲートウェイ・アーチ国立公園が追加。とはいえ向こうは歴史的な建造物がメインであり、大自然を堪能できるこちらとは趣が少し異なる。
ペトリファイド・フォレストはその名のとおり、そこらじゅうに化石が転がっているエリアだ。といっても恐竜のような古代生物はさほど多くなく、メインは「珪化木(けいかぼく)」と呼ばれるナンヨウスギ科の植物。2億年ほど前の三畳紀に土砂で埋もれてしまった樹木の細胞に、珪素や酸素などの化合物である珪酸を含む地下水が入り込み、形を崩すことなくシリカという物質に変化して硬化したそうだ。
膨大な数の珪化木があり、状態がいいモノは年輪までキレイに残されている。美しさに目を奪われて持ち帰りたくなる気持ちも十分に理解できるが、他の国立公園と同様「何も持ち込まず何も持ち帰らない」がルール。
それでも珪化木の盗難は深刻な問題になっているようで、レンジャーが巡回し怪しいクルマがいれば車内を検査している。なお近隣の店では私有地から出た珪化木を売っており、そちらは誰でも購入でき国外に持ち出しても問題ない。また南エリアでは古代のネイティブアメリカンたちが描いた、ペトログリフと称される壁画を見学することも可能だ。