日本最大の自動車メーカーとして知られた日本フォード
1925年(大正14年)の日本法人設立以来、「日本最大の自動車メーカー」として知られた日本フォード。当時は「自動車を作ったのはフォードだ」と勘違いする日本人も少なくなかったというほど、日本人にとってフォード車との関わりは強く深かった。しかしご存知のようにフォードは2016年に日本市場から撤退。しかしいまなおカムバックを願っている根強いファンは多い。ここでで紹介するのは、そんなフォード・ファナティックが主催するイベントで出会ったオーナーたちだ。
ヨーロッパフォード好きな方も大歓迎のイベント
さる2023年11月04日(土)、静岡は浜松市の浜名湖ガーデンパーク南ロータリーにてヨーロッパフォードミーティング(EFM)2023が開催された。コロナ禍により中止を余儀なくされた時期などもありつつ、EFMは今回で第8回目の開催となる。古くはT型の時代から世界各国に現地法人を立ち上げ、やがて現地でそれぞれ独自のモデルを開発してきた。
ひと口にフォードと言ってもご存知の通り、大きく分けるとアメリカ本国のフォードのほか、英国フォードとドイツ・フォードを母体として統合・設立されたヨーロッパ・フォードがあり、今回はそれら欧州製フォード・オーナーを対象としたイベントだ。すなわち参加資格はヨーロッパフォード車オーナー及びOBが基本。そしてヨーロッパフォード好きな方も大歓迎で、募集台数は先着順50台、というもの。
このイベントを主催するのは、ヨーロッパフォードミーティング実行委員会。オーナーたちによる自然発生的に生まれた組織だ。正規インポーターが撤退した後も何年にも渡ってこのイベントが続いているというのは、欧州製フォード自体の魅力と、そこに魅せられた熱心なオーナーたちの行動力のたまものだろう。そして、そんな実行委員会の若手スタッフとして会場の進行を仕切っていたのが、今回紹介するファーラーさんである。
「今から2年前の2021年に、生まれて初めて自分で買った愛車がこのフィエスタです」
と語るファーラーさん。シックなシャドウブラックのボディが綺麗な2019年フォード「フィエスタST-2」。それにしても若い身空で、正規インポーター撤退後のニッポンでなにゆえフィエスタを? そのココロを聞いてみた。
「歴代の欧州フォードがWRCで活躍していたこともありますが、実は父が以前からヨーロッパフォードのヘビーユーザーだったので、その影響が大きいかもしれませんね。実家のアシもフィエスタでしたし」
との答えに妙に納得。欧州車ならではの美点を多く備えた質実な乗り味の欧州フォードは、例えばドイツのプレミアムブランドのようなわかりやすさやラテン系メーカーの持つ華やかさはないが、一度その滋味深い乗り味にハマると唯一無二の相棒となる、確かにそんなキャラクターなのだ。
オーナー好みにアップグレード
「もともとフォードの正規ディラーだったFLCフォード四日市で購入しました。今の仕事は神奈川なのでメンテナンスは地元近くのショップに頼んでいます。現代のクルマなのでメインは普段使い、あとは今回のようなイベントやツーリングにも参加しています」
というファーラーさん。もともとスポーティな走りが身上のSTだが、英国・マウンチューン製のパワーアップスマートフラッシュを組み込み、ホイールも純正の18インチ、フロントブレーキは4ポットキャリパーにするなど、走りに関してもオーナー好みにアップグレードされている。ちなみにフィエスタST-2はこの個体も含め、関東には2台しかいない由。
「クルマ自体の魅力に加え、このフィエスタのおかげで多くの人とのつながりや思い出が生まれました」
と語るファーラーさん。欧州フォード乗りの大先輩たるお父様と共に、これからも素晴らしきフォードライフを。