アメリカ仕様としては2番目に製作されたモデル
プロトタイプでは3列式のW型18気筒エンジンの搭載を考えていたブガッティだが、結局それは排気系のレイアウトに問題があるということで見直され、狭角のV型8気筒エンジンを2基組み合わせたW型16気筒エンジンに。4基のターボを組み合わせた仕様へと変更した。
これに7速のDSGを組み合わせ、前後4輪にトルクを送る。最大出力1001ps、最大トルク1250Nmというスペックにも驚かされたが、それ以上に衝撃的だったのは、407km/hと発表された最高速、そしてわずか2.5秒で走り抜く0−100km/h加速のデータだった。
ちなみにこのヴェイロン16.4で最高速に挑むには、ブレーキペダルを踏み込み一度停車した後に、運転席横のサイドシルにある専用のキーを差し込まなければならない。すると車高は最低位置にまで下がり、リアウイングの角度も最もドラッグの少ない2度に設定。ほかにはタイヤとホイールを新品に交換するといった条件もオーナーには課されていた。
シャシーナンバー「013」を持つ、このヴェイロン16.4は、シルバーとダークブルーのボディカラー・コンビネーションがとても美しい1台だ。インテリアは豪華なグレナディンレザーで統一されており、とてもスタイリッシュでラグジュアリーな空間に感じられる。最初にフロリダ州で登録されたこのモデルは、アメリカ仕様としては2番目に製作されたもので、その後ペンシルバニア州やモンタナ州で登録された記録が残る。
長年にわたって費やされたメンテナンス費用は数万ドルの単位に及び、直近では2023年9月に年次点検を受けている。
ドイツで最も素晴らしいエンジニアのひとりが思い描いた究極のハイパーカー。ニューヨーク・オークションにおいてRMサザビーズ社は、それに150万~175万ドル(邦貨換算約2億1600万~2億5200万円)の予想落札価格を掲げたが、じっさいの落札価格はそれにわずかに届かない、149万ドル(同2億1460万円)という結果に落ち着いた。参考までに発売当初のアメリカでのヴェイロン16.4の新車価格は、最もスタンダードな仕様で125万ドル。その価値は確実に上がっていると考えてもよいだろう。