大切に乗り継がれるR32型GT-R Vスペック
R32型「スカイラインGT-R」は、1989年(平成元年)8月に発売開始され、1994年まで生産された。誕生からすでに24年が経過していることもあり、過走行の個体が多いのは当然だが、あるイベントで走行距離がまだ3万kmにも満たない低走行車を発見。親子2代に渡って、大切に乗り継いでいるという宮崎千尋さんの愛車をご紹介。
雨天では走行しない大切なファミリーカー
2023年10月22日に熊本県の瀬の本レストハウスにて開催された「九州☆GT-Rミーティング2023」で見かけたこちらのR32型は、走行距離が2万7000kmほどの極上車だった。
「このGT-Rは、今年65歳になる僕の父親が、当時新車で購入したVスペックです。年式は平成5年式。僕が生まれたのが平成2年なので、僕の方が3歳だけ年上になります(笑)」
車両そのものは完全なノーマル仕様ではなく、サスペンションの変更や、アペックス製FCコマンダーを装着してのECUチューニングなどを実施。過激なチューニングではなく、日常で楽しむ範囲でのライトチューンがメインとなっている。しかも、リアシートはGT-Rが2座だったのに対して、タイプM用の3座シートへと変更。ファミリーカーとしての実用性をいかに重視しているかが理解できる変更内容だ。
雨天は乗らない大切なクルマ
「雨が降りそうだったら、絶対に乗りません。普段はトヨタアルファードを愛用しているので、もちろんそれがメインです。父が大切にしてきた車両なので、ここぞという時にしか乗らないようにしています。だから、走行距離も伸びないんですけど(笑)。
今は中古車価格がビックリするような値段になっているので、売ればお金になるのは理解しています。でも、父親から譲ってもらったので、お金には換えられない価値がありますから。一度手放してしまったら、もう二度と手に入らないと思っているので、絶対に手放すことはないですね!」
宮崎さんが言うように、R32型GT-RのVスペックになると、走行距離10万kmオーバーの個体でも、購入価格で650万円以上。この車両のように、実走行が3万kmにも満たない無事故の程度良好車になると、販売価格は1500万円以上に設定されてもおかしくないだろう。それだけ、この宮崎ファミリーが大切にしているGT-Rは、貴重な個体という事になる。
しかし、宮崎さんご本人も言うように、「お金には換えられない価値」こそが、評価されるべき価値であるはず。このR32型GT-R Vスペックを大切に所有するという宮崎さんご家族の意思こそが、同じクルマ好きとして尊敬の念を抱いた出会いだった。