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ポルシェ「356」風味のEV登場! 590キロの軽量ボディ「カリーチェTC2」は「コペン」並の小ささです

独立系キットカーの名産地オランダが生んだ味わい深いEV

気がついてみれば、オランダってドンカーブートとか謎のスーパーカーレプリカとか、キットカーの土壌がやたら強いお国柄でしたね。EVの時代が到来したら新規参入がイージーになるぜ! なんて何年も前から言われてきましたが、EVの普及自体がちょっと踊り場というか曲がり角に差しかかった昨今。最先端とはいわないまでも息の長いアプローチで、2011年に始まったデルフト発のベンチャー系独立メーカーより、味わい深いEVが登場しています。それがこちら、カリーチェ カーズの「TC2」です。

軽自動車なみのコンパクトさで航続距離200km

ひと目見ればもうお分かりでしょう。尻下がりのラインをもつコンバーチブル・ボディはどことなくポルシェ「356」っぽいのですが、日本のわれわれの目にはダイハツ「コペン」あたりと足して2で割ったようにも、あるいはそれをベースにしたミツオカの新作か何か(?)に見えるような。

とはいえ、れっきとしたネーデルランド産で、かの地の最先端EVテクノロジーと伝統的コーチワークの賜物、だそうです。たしかに内装はヴィンテージなエンジンターン仕上げで、全長3.6m、幅も1.6mに満たないサイズで、車両重量は590kgに収まっているとか。

パワートレインについては公表されていませんが後輪駆動で、欧州のいわゆるタイプ2急速充電口を備えつつバッテリー容量80%まで約2.7時間で充電可能とのことなので、3相ACの400Vにも対応しているのでしょう。

航続距離はスタンダードが200km、ラージパックは300kmだそうです。ちなみにサスペンションはフロントがダブルウィッシュボーンで、リアはトレーリングアームを採用、トランク容量も120Lを確保しています。

オモチャのような小さいEVが許される欧州の自動車文化

それにしても、なぜこんなクルマが公道を走れるの? EVの押しつけがしち面倒くさい欧州で? というところですが、欧州の法規制は型式認証やCO2排出、衝突安全基準には厳しくても、少量生産コンストラクターには一定の免責があります。

簡素なコミューター、つまり日本でいう軽自動車的な庶民のアシだったバブルカーや原動機付き四輪車が、講習や原付免許じみたものは要るようになっても、今もギリギリ免許不要扱いなのは、庶民の既得権益として守られているからです。

いざ公道を走ったら危ないでしょ? というリスクは当然ありますが、そもそもトラックなど大型車が高速道路で追越車線を走ること自体、タブーなものですから。

じつは調律の効いた自由な土壌があるからこそ成り立つ1台として、カリーチェTC2、まんざら下に見ている場合じゃないんですよね。

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