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新車価格の約3倍! フォード「GT」がおよそ5800万円で落札。デリバリーからまだ20年ほどの優良物件でした

新車価格の約3倍! フォード「GT」がおよそ5800万円で落札。デリバリーからまだ20年ほどの優良物件でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

新車価格の約3倍という落札価格は、マーケットにおける人気の証

2002年のデトロイト・ショーにて、「フォードGT40コンセプト」の名でショーデビューしたフォードGTだが、当時「GT40」の商標権はフォードからGT40の生産設備を購入した「サフィア」社が有していたこと。あるいは元祖GT40の車名の由来である40インチ(約1メートル)の全高よりも4インチほど高くなってしまったこともあってか、「40」はネーミングから取り去られたという。

そして生産準備にも手まどり、2004年秋に「2005年モデル」として正式にデリバリーが開始されるに至った。

今回のRMサザビーズ「Munich 2023」オークションに出品されたフォードGTは、2005年生産の初年度生産車両。ヨーロッパで最初に納車された101台のうちの1台であるとともに、ミッドナイト・ブルー・メタリックにストライプが施された217台のうちの1台とのことである。また新車時にオプションとして純正指定されていた、BBS社製の鍛造アロイホイールも装着されている。

このフォードGTのオドメーターに刻まれる走行距離は、オークションの公式WEBカタログ作成時点でわずか7915マイル、つまり約1万2700kmに過ぎず、20年目にしてようやく慣らし運転が終わったくらいのローマイレージ車である。

RMサザビーズ欧州本社は、このフォードGTについて「2000年代半ばのハンサムで魅力的なGTは、ますます希少価値が高まっており、コレクターの垂涎の的となっている。このような保存状態の良い、走行距離の少ない個体を手に入れる機会を逃す手はない」とのアピールを添えて、オークションに臨んだ。

そして2023年11月25日にモーターワールド・ミュンヘンで行われた競売では37万2875ユーロ、日本円に換算すれば約5830万円でハンマーが落とされることになった。

ところで、2005年に正式デリバリーが始まった当時、フォードGTの初年度生産分は瞬く間に完売したとのこと。登録済みGTの希望小売価格13万9995ドルに10万ドルを上乗せして購入したオーナーも少なくなかったという。

つまり、この「Munich 2023」オークションにおける落札価格は、新車時の定価の約3倍。10万ドルのプレミアムを上乗せした、当時の実勢価格の2倍以上にも相当するものなのだが、実は現在の国際マーケットにおいては相場価格の範囲内にとどまっている。

今世紀初頭に愛好家たちを熱狂させたフォードGTフィーバーは、20年後の現在となっても収まるどころか、さらに盛り上がっているということなのであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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