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BMW「M4エディション50 ヤーレBMW M」が約1550万円で落札! 限定車でも高値落札しなかった理由とは

BMW「M4エディション50 ヤーレBMW M」が約1550万円で落札! 限定車でも高値落札しなかった理由とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

世界各国で限定モデルを展開

BMW M4エディション50ヤーレBMW Mでは、欧州マーケット用のM4クーペにくわえて、中国マーケット専売モデルとして、この2022年の干支が寅年だったことに肖ったボディカラーのM4クーペを設定。欧州向け/中国向けとも、インテリアには専用ロゴ入りのサイドシルパネル、センターコンソールにはメタルプレートがあしらわれるほか、同じくアニバーサリーモデルであることを示す刺繍が、フロントシートのヘッドレストに入れられた。

さらにアメリカ/カナダ市場向けには、M3セダンをベースとする500台の「M3エディション50ヤーレBMW M」が限定生産されたほか、わが国に向けても6速MT仕様の限定車「M3 50thアニヴァーサリーリミテッド」が50台のみ販売された。

今回のRMサザビーズ「Munich 2023」オークションに、「ロード&トラック・コレクション」から出品されたM4エディション50ヤーレBMW Mは、フランス中西部の正規ディーラー「BMWヴァランス」を介してオーダーされ、ロード&トラック・コレクションに新車で納車されたものである。

「サンマリノ・ブルー」のボディカラーに「シュヴァルツ(黒)」のメリノレザーインテリアが組み合わされたこの個体には、「セラミックMカーボンブレーキ」、「BMWディスプレイキー」、「Mカーボン・エクステリアパック」、そして「ハーマン・カードン」社製Hi-Fiシステムなど、魅力的なオプションが多数装着されている。

新車としての登録以来、唯一のオーナーのもとで大切に保有され、オークションカタログ作成時の走行距離はわずか1485km。今どきその必要性があるか否かの論議は置いておいて、慣らし運転の距離にも達していないほぼほぼ新車のM4エディション50ヤーレBMW Mなら、限定枠を得られなかったBMWファンが飛びつくのでは……? という期待を込めて出品されたということだろう。

ところが11月25日に「モーターワールド・ミュンヘン」にて行われた競売では、出品サイドの期待ほどにはビッド(入札)が伸びず、終わってみれば9万7750ユーロ、日本円換算では約1550万円で落札されることになった。

ちなみに日本仕様のM3 50thアニヴァーサリーリミテッドの新車価格は1360万円。M3とM4クーペの価格差、さらに円安の為替レートを勘案すれば、今回の落札価格は「コレクターズカー」というよりは「ユーズドカー」に近いものと考えられよう。

ごく一部のスーパーカーでは、限定モデルは半ば投資的にも扱われている感があるいっぽうで、やはり限定とはいえ一般的な量産車に近いアピアランスと内容のクルマでは、おのずと限界がある……、と判断されたとみて間違いあるまい。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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