メーカーによって意味が異なる
同じアルファベットでも、「A」「R」「X」「Z」などは、なんとなくカッコいいイメージがあり、車名やグレード名にもよく用いられる。そうしたなかで、わりと多くのメーカーが車種で採用されている二文字として「RS」がよく知られている。ところでこの「RS」は、メーカーによってけっこう込められている意味が異なる。そんな「RS」の代表的な車種とその意味を確認しておこう。
日産スカイライン2000RS(R30)
ケンメリGT-R以来のDOHCエンジン復活で、スカイラインファンを喜ばせたR30。新開発のFJ20エンジンが4気筒だったため、栄光の「GT-R」のネーミングが与えられなかったという説は、漫画「よろしくメカドック」でも否定されていたが、R30の「RS」は「レーシングスポーツ」そのままの意味だ。
レースでも1982年に長谷見昌弘がスーパーシルエットに参戦(シャシーはノバエンジニアリング。カウルデザインはムーンクラフトが担当)。ワークススカイラインが久しぶりにサーキットにカムバックして、大人気を誇った。
ホンダ シビックRS
ホンダのスポーツモデルというと「タイプR」のイメージが強いが、そのルーツを辿ると1974年のシビックRSにたどり着く。シビックRSは標準車が66ps、4速MTだったのに対し、RSは京浜製のCVキャブを2連装し、76ps/5速MTにチューニング。
サスペンションのバネレートも強化され、タイヤは155SR13ラジアルを装着した。フットレストも標準装備と、どうみてもバリバリのスポーツモデルだが、当時は厳しい排ガス規制の真っ只中で、「レーシング」や「スポーツ」のイメージなど、お上(運輸省)が認可するわけがなく、「RS」=「ロード・セーリング」と言い張って、命名された。
三菱ランサーエボリューションRS
ランサーエボリューションは、もともと競技ベース車両として2500台限定で発売されたのがはじまりだ(エボ Iも2500台追加され、合計5000台販売)。そのランエボには、GSRとRSの2グレードがあり、エアコンなど快適装備を省いた正真正銘の競技車両ベースが「RS」だった(デフなど電子制御も違う)。ランエボの「RS」は「Rally Sport」の略で、競技は主にグラベルシーンを念頭に置いた開発になっている。
マツダ ロードスターRS
マツダのロードスターにも上級グレードとして「RS」が用意されている。マツダで「RS」と聞くと、「ロードスターの略?」と思うかもしれないが、それだとロードスターRSは、「ロードスター・ロードスター」になってしまう……。
調べてみると、どうやら「RS」にはとくに具体的な意味はないようだ。ちなみに同じロードスターでも、RFは「リトラクタブル・ファストバック」、RHTは「リトラクタブル・ハードトップ」の略になる。