フルスチールのボディはキャンプの相棒に最適な1台
2023年9月に富士山麓のスタックランドファームオフロードコースで開催された「ジープジャンボリー」には、古くはウィリス「MB型」から三菱ジープ、そして最新のジープ「ラングラー」まで、個性的なジープと魅力たっぷりのオーナーが集まった。今回は、会場内でも珍しかったワゴン系ボディのJ38型「三菱ジープ」を紹介しよう。
日本独自の進化を遂げた4ドアワゴンボディのJ30系ジープ
ワゴン型のボディを持つ1977年式J38型三菱ジープのオーナーの前坂さんは、若いころから4WD好きで、「ジムニー」を購入した後に「ランクル」を探していたそうだ。そのときに出会ったのが、ディーゼルエンジンのJ36型三菱ジープだったというわけで、以来J30系ワゴンばかり30年間で5台も乗り継いできたという。このJ38も、かれこれ10年ちょっと乗っているのだそうだ。
戦後ウィリス社とのライセンス契約によって、日本でジープ製造が可能となった中日本重工業(後の三菱重工業)は、日本独自の派生モデルを続々登場させる。1961年にはロングホイールベース版のシャシーに、フルスチール製のワゴンボディを架装したJ30型デリバリワゴンも登場。
前坂さんが乗ってきたJ38型はそんなJ30型の後継モデルで1974年に登場。エンジンはガソリン2.4Lの4G53型が搭載され、マルーンと白のツートーンボディや赤い内装など、レジャービークルの先駆けとして当時は高価ながら人気のモデルだった。
細かな灯火類を交換してビンテージスタイルを楽しむ
前坂さんはそんなJ38をノーマル風のままながら、細かな部分に手を入れて乗っている。最もこだわったのは灯火類だ。
「フェンダー上のウインカーを古いタイプに変更して、フロントグリルのホーンが備わる部分には古い年式のマーカーライトを装着しています」
よく見るとテールランプも通常であればレッドとアンバーのコンビネーションとなるが、この車両はあえてレッドとクリアのレンズを使用しているのだ。アメリカの灯火類をオマージュしたような細かなモディファイだが、夕闇にテールやフロントマーカーが光る雰囲気はなんともアメリカっぽいのだ。
その他メーターまわりもより古い20系用に交換するなど、全体的に古い年式に見える工夫が施されている。
今でも現役でキャンプに大活躍!
前述の通り、これまで30年間で30系ばかり5台も乗り継いできたという前坂さんだが、やはりこのクルマの状態はかなり良いそうで、ボディも一部オリジナルペイントが残り、腐りもほとんど皆無。46年も前の車両とは思えないほどコンディションは良いという。
「今はこのクルマが気に入っているので、乗り換えは考えていません。すでにこのクルマに10年乗っていますが、大きなトラブルもなく、本当に壊れない良いクルマです」
古いクルマながら、こうしてイベントに参加したり、キャンプを楽しんだりと、本来の用途であるレジャービークルとしてしっかりと活用している前坂さんのJ38は、まさに旧車ライフの理想のスタイルと言えるだろう。