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映画『湾岸ミッドナイト』の劇中車「ブラックバード」の数奇な物語「不思議な縁を引き寄せるポルシェ911ターボです」

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TEXT: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)  PHOTO: 青木邦敏

湾岸最速仕様にチューニング

湾岸仕様フルチューンマシンとして、誰よりも速く走るために施したチューニングの内容は、エンジンを3.3L化し、ビッグタービン+巨大なインタークーラー搭載で600psのパワーを引き出した。

ただ、現在はさらにチューニングを進め、排気量を3.4Lまでスープアップさせ、ポート研磨、ハイカムをセットし、ワンオフのエキマニにボルグワーナーS300SXEタービンを装着。すべての制御をモーテックによってコントロールさせることで精密制御を行い、ピークパワーだけでなく、立ち上がりのレスポンス等を意識したセッティングを施している。

また、チューンドエンジン搭載に伴って、足回りにも手を加えている。元々、911ターボのサスペンションは、構造が普通ではない特殊形状のトーションバー式サスペンションを採用している。しかし、これだと足回りのセッティング幅に制限がでるため、より自由度を求め、一般的なコイルオーバー式に変更。その結果、選んだサスペンションは、エナペタルショック+ハイパコスプリングのセットだった。また、ボディ補強も行い、スポット増しを車体全体に施している。

どうして映画の劇中車に選ばれた?

外装については通称「湾岸スポイラー」と呼ばれているTBKフロントバンパーをセット。リアバンパーもTBK製で、ウイングはベルグを装着させている。また、パッと見ではわからないが、ルーフもカーボンルーフ仕様になっているということだった。

憧れ続けたミッドナイト代表のポルシェ911ターボに近づくために製作した菅野さんの愛車。その頃、ちょうど漫画『湾岸ミッドナイト』が世に知れ渡るタイミングだった。

そして、そこに登場するブラッグバードのモチーフになったマシンがミッドナイト代表のポルシェ911ターボだったというわけだ。

では、なぜそのクルマを差し置いて、菅野さんの愛車が実写版のブラックバードとして選ばれたのか? これには理由があって、実はブラックバードのモチーフになったミッドナイト代表の911ターボのボディカラーはあずき色だったのである。そして、菅野さんの愛車はオールブラックのだったというわけだ。

さらに、たまたま映画製作会社のスタッフが首都高を走る菅野さんの愛車を見かけ、これぞブラックバードと感じたことがきっかけで指名が入ったという。

ブラックバードのモチーフとなった憧れの人物の愛車を目指して作った車両が、ブラックバードとして劇中車に採用される。なんとも不思議なストーリーだ。

菅野さんは、「わたしのポルシェは、たまたまの偶然ですけど、色々な意味で様々な縁を引き寄せる不思議なクルマだと感じています」と語ってくれた。今となっては、ポルシェ仲間の間でもすっかり「ブラックバード」と呼ばれるようになったそうである。

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  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 1969年生まれ。某出版社でドレスアップ誌、チューニング誌の編集長を歴任。2006年に自動車・バイク専門の編集プロダクション株式会社バーニーズを設立。自動車専門誌をはじめ、チューニング、カスタム系、旧車、キャンピングカー、アウトドアに関する媒体を新たに立ち上げる。これまでの愛車は、セリカXX、スカイライン、AE86、AE92、シビック、スープラ、シルビア、180SX、ロードスター、RX-7、BMW850iなどなど。他にもセダン系、バン系、ミニバン系など数多くのクルマを乗り継いでいる。
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