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420万円で落札! ポルシェ「924」は3000台限定のマルティーニカラーの極上車でもまだ手が届きます

420万円で落札! ポルシェ「924」は3000台限定のマルティーニカラーの極上車でもまだ手が届きます

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

マルティーニ・ポルシェ935の年間タイトルを記念した限定モデル

イタリア・トリノの酒造メーカー「マルティーニ・エ・ロッシ」は、1970年代から1980年代にかけて、ポルシェやランチアとのコラボレーションによるモータースポーツ活動を展開していた。「924マルティーニ チャンピオンシップ エディション」は、1976年シーズンのFIAメイクス世界選手権において、「マルティーニカラー」のポルシェ「935」が年間タイトルを獲得したことを記念して生産された限定モデルである。

この限定仕様の924は「ポリツァイ・ヴァイス(ポリス・ホワイト)」のボディカラー、マッチングペイントされた白いホイール、そしてなにより車体サイドに走る有名な「マルティーニストライプ」によって、容易に標準仕様と見分けられる。

しかしコスメティックのマルティーニ化は、コックピット内の方が顕著といえよう。赤いカーペットにブルーのパイピングが施されたブラックのビニールシート、レッドクロスのインサート、ヘッドレストのマルティーニストライプなどが、限定エディションであることをアピールする。

また専用のレザー巻ステアリングホイールに加え、1976年シーズンにポルシェがスポーツカー耐久レースを制覇したことを誇示するメタルプレートも追加されている。

2023年11月のRMサザビーズ「The White Collection」オークションに出品された個体は、1977年1月1日付でラインオフし、ミズーリ州セントルイスのポルシェ正規ディーラーを介してファーストオーナーに販売された。

この個体には追加オプションとして、エアコンディショナーとリアウインドウワイパーが装備されているほか、ハンドリング向上のためのスタビライザーも、ポルシェ社内コードでは「E19」と呼ばれるパッケージオプションとして、前後ともに装備されている。

そして新車としてデリバリーされたのち、40年以上を初代オーナーのもとで過ごしながらも、オークション公式カタログに記載されている総マイレージはわずか2万4769マイル(約3万9600km)に過ぎず、過去46年間にわたり控えめに使用されてきたことがわかる。

2016年に行われた整備記録と請求書によると、このクルマは完全なブレーキ整備を受け、ブレーキディスク/パッド、ライン、ホイールベアリングは交換された。同時に点火システムも整備され、テンショナー付きの新しいタイミングベルトが取り付けられた。

このマルティーニ チャンピオンシップ エディションは2019年から「The White Collection」に所蔵。それ以来、適切な動作を確認するために月1回の間隔で始動していたとのこと。くわえて、オーナーズブックやオリジナルの保証書などを収めた純正ブックレット、アクセサリー類も添付されるとのことだった。

RMサザビーズ北米本社は4万ドル~6万ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定。その上で「Offered Without Reserve」、つまり最低落札価格は設定しなかった。この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることからオークション会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むことも期待できる。ただしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札されてしまうというリスクも二律背反的に持ち合わせる。

そして迎えた競売では、エスティメート下限に満たない2万9120ドル、日本円に換算すると約420万円という、出品者側にとっては少々厳しい価格で落札されることになったのだが、同時にバイヤーにとってはなかなかのお買い得ともなったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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