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アドバンカラーのポルシェ「962C」がFSWを走った! 高橋国光選手がタイトルを獲得したマシンそのものでした

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了/佐藤正勝/宮越孝政/佐藤亮太

レギュレーション変更に対応しつつ王座をキープし続けたポルシェ

FIAの下部組織でモータースポーツの車両規則などを制定している国際スポーツ委員会(CSI)は度々スポーツカーの世界選手権のレギュレーションを変更。1976年にはグループ5、いわゆるシルエットフォーミュラを主役に据える世界メーカー選手権とグループ6の純レーシング・オープン2シーターによる世界スポーツカー選手権を並行して開催することとしています。

ポルシェはこれにも素早く対応し、グループ5にはポルシェ「935」、グループ6にはポルシェ「936」を投入しています。911(930型)をベースにグループ5として仕立てたシルエットフォーミュラが935、同じエンジンを搭載したオープン2シーターのレーシングマシンが936。ちなみにGTカーとしてホモロゲーションを受けたグループ4は「934」と命名されていました。

いずれにしても935も936も、そして934も、それぞれのカテゴリーで最強マシンの名をほしいままにしていました。そうした状況も手伝ってか、CSIから組織が改変されて誕生した国際自動車スポーツ連盟(FISA)は1981年には、それまでの車両規定を一新してグループCを誕生させるとともに、WSCをグループCが主役の燃費制限を課した世界耐久選手権(WEC)として開催させることにしました。

このグループCへの移行に、最も素早く対応したのもやはりポルシェでした。前年のル・マン24時間で936に搭載して実戦テストを行い、見事優勝を果たしていた2.65Lツインターボの水平対向6気筒エンジンを、ポルシェのレーシングカーとしては初となるアルミ・モノコックに搭載したポルシェ「956」は、デビューシーズンにおいて5戦のうち3勝を挙げてマニュファクチャラー・タイトルを獲得するとともに、8戦のうち4勝を挙げたジャッキー・イクスがドライバーチャンピオンに輝いています。

以後も圧倒的な速さと強さを見せつけた956は、安全規定が強化された1985年には新規定に順応した「962C」に移行し1986年まで5シーズン連続してグループCを連覇。国内では1983年から始まった全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)でもポルシェ956/962Cが大活躍。初年度の1983年は3戦3勝とパーフェクト。1984年はタイトルを逃したものの4戦3勝と最多勝をマーク。そして1985年から1989年まで5連覇を果したのです。

今回「箱車の祭典2023」に参加したゼッケン25号車は2023年亡くなった高橋国光選手がスタンレイ・ディケンズ選手とコンビを組み1989年にシリーズタイトルを獲得したクルマそのもの。レッド&ブラックのADVANカラーは、当時の圧倒的なパフォーマンスを思い出させるに十分なものがありました。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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