もしも見かけたらラッキーな激レアモデル
日本ではあまり需要がなく、見かけることも少ないピックアップトラック。しかし北米やオーストラリア、東南アジアでは人気が高いジャンルで、とくにアメリカでは価格の安さ、実用性の高さ、耐久性、そして力強い外観からの押しの強さなどから、若者にも人気のある車種になっている。そのような理由から、国産メーカーも主として輸出向けにピックアップトラックを生産してきた歴史がある。その中からレアなピックアップトラックをピックアップしてみよう。
マツダ ロータリーピックアップ
レアといったらまずこの1台。1974年にアメリカで発売されたマツダ「ロータリーピックアップ」。2代目「ルーチェ」に採用された654cc×2ローターの「13B型」ロータリーエンジンを搭載した、世界で唯一のロータリーエンジン搭載のピックアップトラックだ。
ベースはマツダのピックアップトラック「プロシード」だが、前後のフェンダーはワイド化され、フロントグリルにはロータリーマークのエンブレムが。ブレーキもフロントはディスクブレーキになっていて、走りの良さを強調。しかし、生産台数はおよそ1万6000台にとどまっている。
プリンス スカイウェイ・ピックアップ
スカイラインにはかつて「スカイライン クロスオーバー」(2007〜2016年)というSUVがあったが、その遠い先祖となる初代「スカイライン」には、ダブルキャブのピックアップトラックバージョン、「スカイウェイ・ピックアップ」が存在した。
スペックはスカイラインと共通で、1.5L直列4気筒OHVエンジンを搭載。サスペンションもフロント:ダブルウィッシュボーン、リア:ド ディオンアクスルとセダンから流用。最大積載量500kg、乗員6名で、1959年に登場し1963年9月まで販売された。
スバル ブラット
スバルは意外にも昔からピックアップトラックに力を入れていて、1977年には初代「レオーネ」をベースにした、オール4WDの「ブラット」を発売。シャシーはラダーフレームではなくモノコックボディで、荷台に後ろ向きのシートが2脚ついた4人乗り仕様(乗用車扱いにすることで関税対策)。
レジャーモデルだったが、悪路の走破性は高く、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどで多くのユーザーから支持され、ロングセラーとなった。
スバルBAJA(バハ)
スバルからはもう1台、「レガシィアウトバック」をベースとしたダブルキャブ、「BAJA(バハ)」も紹介。ダブルキャブの4人乗りだが、後部座席と荷台の間にはトランクスルー機能がついていて、長い荷物も搭載できるのが大きな特徴。駆動方式はAWDでエンジンは2.5LのEJ25。のちにターボモデルも登場した。スバルのピックアップトラックは、ブラットもこのBAJAもスタイリッシュなところが大きな魅力。BAJAは2003〜2006年までに約3万台が販売された。
スズキ マイティボーイ
スズキからは1983年に登場した「マイティボーイ」を挙げておこう。マイティボーイは、「セルボ」をベースにした2人乗りのピックアップトラック。積載量は200kgとたいしたことはなかったが、新車価格が42万円~だったのはビッグニュースだった。
CMのキャッチコピーは「スズキのマー坊とでも呼んでくれ」。CMにインパクトがあったので知名度は高いが、ちょっと時代を先取りしすぎて、販売台数は伸びなかった。遊び心満載のクルマで隠れた名車といってもいい!?
トヨタ クラウンピックアップ
クロスオーバーやSUVまで加わった現行の「クラウン」だが、1967年に登場した3代目クラウンには、ピックアップも登場した。エクステリアはスッキリした上品なデザインでクラウンらしいが、「クラウンピックアップ」には後継車がなく、1代限りでカタログから姿を消してしまった……。
三菱トライトン
先の「ジャパンモビリティショー2023」で、12年ぶりになる日本仕様のプロトタイプが公開され話題となった三菱の「トライトン」。初代は2005〜2014年に製造されたKB9T型で、2006年から日本仕様も販売。三菱のタイ工場で生産され、2006年にはダカールラリーにも出場しているが、日本では知名度、人気ともに上がらず、2011年に販売終了……。ガソリンエンジンオンリーで、MT仕様がなかったことなどが仇となり、わずか1800台しか売れなかった(2代目には国内仕様が用意されなかった)。