新車でナンバーをつけて以来ワンオーナー
「新車がデビューしてから間も無く、個人で輸入してガス検を通してナンバーを取得して、全て自分でやって以来、ずっと乗り続けているんだ」
と語ってくれたのはオーナーの“シエラおんちゃん”さん。そして、さらに話をうかがうと
「このクルマの入手にあたっては、現地ではコーワンにも手助けしてもらったんだ。だから買った場所はスコットランド。あ、コーワンってわかる?」
え? まさか、あのラリードライバーのアンドリュー・コーワン氏ですか? 三菱「ランサー GSRエボリューション」とかサザンクロスラリーとか、そしてラリーアート・ヨーロッパの……。
「そうそう、彼とは知り合いだったから。2019年に亡くなっちゃったけどね」
いや、話が突然凄すぎて一瞬唖然。
「ずっと昔、三菱のラリーメカニックとして、世界中転戦してたの。その前は自分でも国内で二輪や四輪のレースやってたんだけどね」
いや、その強烈なエピソードの数々に驚きつつも色々と納得。
「このシエラRSコスワースは1986年式、デビューした年のモデル。日本に持ってきて、自分でナンバーをつけて以来ワンオーナー。最近では知り合いに声をかけられたとき、たまにこのようなイベントに参加するくらいかな」
というから、この日、“シエラおんちゃん”さんのシエラRSコスワースに出会えたのは思いがけない幸運だった。
「自分のクルマだから、基本的には他人にはいじらせないんだ。パーツもいまだになんとかなるから、全部自分でやってる」
ツーリングカー・レースやWRCで暴れまくったGr.Aのホモロゲーション・モデルのオーナーは、かつてトップカテゴリーを転戦していたラリー・メカニック。イベントの会場で、この白いシエラRSコスワースがただならぬオーラを発していたのは、決して気のせいではなかったわけだ。