クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • LIFE
  • リアウインドウの「保管場所標章」がなくなる!? 廃止で困るセレブが赤坂を中心に続出するかも【Key’s note】
LIFE
share:

リアウインドウの「保管場所標章」がなくなる!? 廃止で困るセレブが赤坂を中心に続出するかも【Key’s note】

投稿日:

TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: photo AC/AMW

  • 保管場所標章
  • 赤坂5丁目の景色
  • 赤坂見附の交差点
  • 愛車を手に入れたら駐車場を確保しなければならない
  • 保管場所標章は警察署で発行してもらえる
  • 保管場所標章は警察署で発行してもらえる
  • リアウインドウに貼り付ける保管場所標章

車庫を確保している証として存在

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「保管場所標章」です。リアウインドウに貼り付けるものですが、この保管場所標章が姿を消すことになるそうなのです。この保管場所標章に並々ならぬこだわりを持つ友人がいるという木下さん。そのこだわりエピソードを紹介します。

発行された警察署が記載されている

警察が発行し、クルマのリアウインドウに貼る「保管場所標章」が、どうやらその役目を終えて廃止の方針で検討を進められているようなのです。

保管場所標章とは、車庫証明書が発行されたクルマであることを証明する標章です。クルマの所有者は、本拠地より半径2km以内に駐車スペースを確保しなければなれません。1991年に、車体に貼るよう義務化されました。それを証明するものなのです。

ですが、デジタル化が進んだことで、保管場所標章の添付を確認する必要が薄れました。車両ナンバーから保管場所を確保しているか否かは判断できるからです。1991年に保管場所標章が施行された理由は、道路を駐車場代わりに利用するユーザーが多く、運行上の障害を招いていたことです。社会問題化し、クルマのオーナーには車庫証明書の取得が義務化され、その証として保管場所標章が発行されたという経緯があります。

貼付場所は、リアウインドウと定められています。場所を指定しているのは個人的に興味深いポイント。ただし、オープンカーやトラックなどリアウインドウがないクルマでは、どこか見やすい場所という曖昧な規定です。貼らなかったからといって違反点数や罰金といった罰則もないので、それほど重要なものではなかったように思います。

だというのに、「保管場所標章」を手にするために手間がかかることは無視できません。警察署にまで出向いて対面で受領しなければならず、手数料として500円が徴収されていました。その煩雑さと費用がなくなったことは大歓迎かもしれません。

警察署のイメージ

ただし、面白いことに全会一致で賛成なのかと思っていたら、たわいもないことが理由で、廃止を残念に感じている人もいたようです。

「赤坂警察署」の記載にステータスを感じる!?

じつは僕の知人のひとりは東京・赤坂に住んでいます。バブル景気を経験しており、始めた事業が成功。手にした赤坂のタワマンに住んでいるわけです。ですから彼のメルセデス・ベンツに貼られている「保管場所標章」には、「赤坂警察署」の文字が印字されています。もちろん品川ナンバーです。

ことさらバブリー思考の彼は、品川ナンバーのメルセデス・ベンツに乗り、赤坂警察署が発行する保管場所標章を貼ることが夢だったというのだから呆れますよね。多分にミーハー的な感覚ですが、品川ナンバーが誇らしく、それだけでは満足できません。発行が赤坂警察署であることが気持ちをクスグルのだそうです(笑)。

日本経済が狂乱だったバブル期には、高級車がウヨウヨと六本木や渋谷の繁華街をクルーズしていました。わざわざ地方からやってくるクルマも少なくなく、その中で東京23区在住であることを表す品川ナンバーがステイタスだと思われていた時代があったのです。青春をバブル時代に過ごした彼は、品川ナンバーであるうえに赤坂警察署発行であることに自尊心を刺激されたといいます。

人の趣味嗜好は様々ですね。ともあれ、それをモチベーションに事業を成功させたというのだから、それはそれで祝福しなければなりません。誰にも迷惑をかけていないのですから、個人の自由です。

彼に言わせれば、赤坂警察署と同級の保管場所標章は、青山警察署と高輪警察署が発行したものだけだそうです(笑)。

たわいもない与太話ですが、保管場所標章の廃止の情報を得たときに、最初に浮かんだのが友人であるミーハーな彼のことです。彼がいまどんな気持ちでこのニュースを知るのかは不明ですが、これからも赤坂警察署発行の保管場所標章だった、というステイタスを誇りに事業を拡大してほしいものです。

すべて表示
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
著者一覧 >

 

 

 

 

 

 

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS