いずれ3.5L V6エンジンを搭載する予定!
東京オートサロンの会場を歩いていると「え? フランスからルノー トゥインランを持ってきたの?」と思わせてくれたのが埼玉県草加市にある畑野自動車ブースです。鮮やかなブルーを纏った「セラヴィ105マキシ」について話を伺ってきました。
そもそもベースとなったルノー トゥインゴとは
2016年に3代目としてデビューしたルノー トゥインゴは、先代のFFレイアウトとは真逆のRR(リアエンジン・リアドライブ)を採用したコンパクトカーだ。ルノーとしても約40年ぶりの量産RRとして話題となった。
その姿をよく見れば、1972年に登場したルノー5ターボ(5と書いてサンクと読む)を思い起こさせるフェンダーの張り出しやリアコンビランプなど熱心なファンを唸らせるエクステリアとなっているのが特徴的だった。
インテリアは女性が見てもカワイイ〜! と思えるポップなデザイン。シンプルに纏められているのが印象的で、外装に合わせたゴルディーニ・ブルーのカラーコーディネートが用意されていたのもオシャレと思わせてくれた。なお、デビュー当時は特別仕様車として「サンクS」のみ5速MTが用意されていた。
開発コンセプトは闇夜をドリフトしながら走り抜ける
畑野自動車が作り上げたサーキット仕様車のベースは、2017年10月19日に発売となった「トゥインゴGT」だ。ターボエンジンに5速MTを搭載した同モデルは、200台の限定モデルで6速EDCに対し、専用チューンで19psもアップしたエンジンをリアにマウントしていた。もちろん「GTは名ばかり」ではなく、ルノー・スポールによって前後ダンパーを専用にチューンし、40%剛性が増しているほか、スタビライザーも強化され、スポーツドライビング時の安定感が向上している。
もともとのポテンシャルが高いトゥインゴGTに畑野自動車流カスタムを施したのがこの「セラヴィ105マキシ」だ。
エクステリアでまず目を引くのが、存在感抜群の6灯のフォグランプだ。開発コンセプトに、闇夜の中をドリフトしながら走り抜けるといった意味が込められており、クレイジーでインパクトのある見た目にした。
またかつてのサンクのラリーカーもフォグランプが6灯だったことを受け、ルノーのレーシングカーのオマージュとして装着している。インパクトを与えつつヘリテージにならったデザインになっていた。「セラヴィ105」同様に「ハタノ」のロゴ入りだ。
ボディは片側105mmワイドにしており、カーボンのスペシャリストである量産サプライヤーのケプラ社の協力のもと、実現したワイドボディだとか。105mmという数字は「セラヴィ105マキシ」の名前の由来にもなっている。
ボディカラーは、ゴルディーニ・ブルーという鮮やかなカラーでオレンジが随所にアクセントとして加えられている。ブルー×オレンジの組み合わせはアルピーヌでもお馴染みのコーディネートだ。
リアウイングは、デザインを一から起こし、サンクのラリーカーのようなダックテール形状にしている。ボディ下部のボリュームと合わせて、絶妙なバランスでウイングの大きさを決めたそうだ。
ホイールは、2023年の畑野自動車のオートサロン出展車両「アルピーヌA110」でタッグを組んだフランスのコンセプトカー販売メーカのラヴァージュと、OZレーシングと共同開発したA110専用ホイールを装着した。サーキット走行を想定したコンセプトモデルなので、ライト類は外されており、強固なロールケージが取り付けられている。
インテリアにもルノーのヘリテージを取り入れている
インテリアについては、今回のコンセプトモデルでは、ラヴァージュからの協力を受け、ルノー サンクターボ I に使用されていた生地を提供してもらっている。アルピーヌA110では内装を赤に纏めていたため、シートカラーも赤をベースにしていたが、今回はボディカラーのブルーに合わせ、ブルーをベースに赤ステッチを合わせた配色になっていた。
シートはアルピーヌ用のシートを使っており、試してみたらたまたまインストールできたので、あえて「ALPINE」のロゴもそのままにしたという。
2023年のオートサロン展示車両では、開催半年前に製作途中の車両が、預け先の板金工場での火災によりほぼ焼失するというトラブルに見舞われたが、2024年はトラブルがなかったものの、開発チームは寝る間も惜しんで、コンセプトカー製作にあたったそう。チームの中には別に本業を抱えている人もおり、週末に集まっては作業を進めるといった大人の部活のようにして製作してきた。
驚くことに、マキシが塗りあがったのは、オートサロン前日の11日の朝! はじめに塗装したボディの状態に納得がいかず、塗り直しを決行。チーム一丸となってギリギリまでこだわり抜いて作り上げた。現地にいたデザインを担当した方は次のようにコメント。
「今年も畑野自動車オリジナルで、これまで我々が続けてきた取り組みとルノースポールの歴史を融合させてクルマを作りました。見る人が見たらヘリテージを大切に受け継ぎながら、畑野らしいエッセンスを加えたとわかるようなクルマを作ることにこだわっています。フランス車に乗っている人は特に歴史的な部分を大切にしますから。
ルノーのことを好きな人、フランス車が好きな人が見て、いいな! と思ってもらえるという点はずっと心がけています。この活動がゆくゆくは畑野自動車のバリューアップに繋がり、日本発のフランス車カスタムとして、フランス本国への橋渡し的な存在になれればと思っています。本国に認めてもらうために、これからも基本に忠実であることは守っていかなきゃですね」
今後「セラヴィー105マキシ」には、ロータス エキシージのV6 3.5リッターエンジンを換装し、現在のダミーのダクトもホンモノにしてモンスター化を図るそう。
オートサロン終了後、展示車両はそのまま畑野自動車に置いてあるそうなので、実車を見たい方はぜひ遊びに行ってみてはいかがだろうか。