ニュルで84時間のレース中82時間まで上位を走っていたカーナンバー18を忠実に再現
去る2023年10月29日に富士スピードウェイを会場として「POWER&TORQUE」という名のイベントが開催され、その中で箱車レーシングカーの走行枠が設けられました。「箱車の祭典2023」と銘打って実施された走行枠に参加していたマツダ「コスモスポーツ」を紹介します。
レースに参戦するようになりモディファイ
箱車の祭典では、1990年までの純レーシングカーによるClass 1と、1990年までの市販車ベース車両によるClass 2が設定され、前者はGr.CカーやGCカーなど、後者はツーリングカー、TS、ワンメイク車両などが対象となった。
Class 2にエントリーしたマツダ コスモスポーツは、1968年にニュルブルクリンクで開催されたマラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久レースで、82時間まで上位を走っていたカーナンバー18を忠実に再現した車両だ。同レースでポルシェ、ランチアに次ぐ総合4位でフィニッシュしたカーナンバー19のレプリカも箱車の祭典にエントリーしていたが、こちらは出走しなかった。
マラソン・デ・ラ・ルート84時間は、ドイツにある1周28kmのニュルブルクリンクサーキットを文字通り3日半にわたって走り続けるというもので、マツダは耐久性と高性能を両立したロータリーエンジンの威力をアピールするために世界一過酷と評された耐久レースにコスモスポーツを送り込んだのだ。
カーナンバー18仕様のコスモスポーツを箱車の祭典で走らせた井出 満さんは御年77歳のベテランドライバーで、30代のときに日本車初のロータリーエンジン搭載車であるコスモスポーツを購入したそうだ。
「2000年ぐらいからJCCAに参戦するようになって、10数年前にマラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久レースにチャレンジしたカーナンバー18仕様にモディファイしました。今回は出走しませんでしたが、カーナンバー19のオーナーさんが先にデ・ラ・ルート仕様にしていました。ランデブー走行できず、残念です」
アルファ ロメオの「セブリングスパイダー」も所有し、このクルマでもJCCAに参戦しているという井出さんは77歳と思えない走りを披露していたが、本人的にはまだまだ不本意だったようだ。
「きょうは空気圧を調整しながら走ってみましたが、走行タイムがあまりよくなかったですね。まあまあといった感じです。ですが、ロータリー仲間と一緒に走ることができて楽しかったです」
マツダはコスモスポーツでマラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久レースに挑戦し、「ファミリアR100ロータリークーペ」で1970年のスパ・フランコルシャン24時間レースに参戦して大健闘。世界にロータリーエンジンの優位性を伝えたが、国内では井出さんのように40年以上にわたってコスモスポーツに乗り続けているオーナーたちがその耐久性と高性能ぶりを周囲にアピールしてきたのだ。まだまだ若い井出さんは、80代になってもレーシングスピードで走り続けてくれるだろう。