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【車重699キロ】フルカーボンボディのポルシェ「912」が誕生! どうして水平対向6気筒の「911」ではなくて4気筒を選んだ?

現代の最新技術で大きな性能面でのアドバンテージを得たKAMM912c

700キロを切るボディ重量に走りの期待が膨らむ

2022年にポルシェ912のレストモッド、「912c」を発表し、一躍ポルシェ・ファンの間でもその存在が知られるようになった、ハンガリーのKAMMマニファクチャー。ミクロス・カズメルによって率いられるこのメーカーが、なぜ「911」ではなく、水平対向4気筒エンジンを搭載する「912」をレストモッドの素材に選んだのかにはさまざまな理由があります。その中でも特に重要なのは912がそもそも持つ軽量性とスポーツカーとしてのさらなる進化の可能性にあったのだと言います。2023年末に登場したフルカーボンボディの最新バージョンを紹介します。

オリジナルを忠実に再現しつつ最新の技術で仕上げている

実際にポルシェが911の廉価版として912を発表したのは1965年のことだから、現在ではレストモッドの素材となるドナーカーを探すのも簡単な話ではないが、それでもKAMMは今後も912のパフォーマンスを高めるため、その方向性を探り続けるという。

KAMMには、エンジニアをはじめ、レストアの専門家、モータースポーツのベテランドライバー、そして製作のエキスパートなど、多くの優秀な人材が集まっている。彼らが今回最新作としてデビューさせた912cは、これまでのモデルからさらに進化を果たしたもので、プログラムの始まりはドナーカーを完璧なまでに美しくレストアし、完成したボディパネルをベーステンプレートとして使用すること。

このテンプレートでKAMM独自のカーボンファイバー素材のパネルを製作し、結果的にボディ全体、あるいはその一部をカーボン仕様とすることに成功しているのだ。さらにウインドウは軽量なポリカーボネイト製とされ、レーシングミラーはエアロダイナミクスを意識した、KAMMオリジナルのデザインとなる。

インテリアもカスタマーの好みに応じて、さまざまな仕様にアレンジすることができる。レーシングバケットシートにフルハーネスのシートベルトを備えた、まさにサーキット走行にフォーカスした仕様から、ラグジュアリーでハイレベルなレザー素材を用いたものまで、そのバリエーションはまさに無限大といってもよい。

フラット4ユニットは190psへアップデート

リアに搭載されるエンジンは、スイスのモータースポーツ用エンジン製作でも多くの実績を持つ、JPSエアクールドによる2Lの水平対向4気筒。10.5という高圧縮比が設定されたこのエンジンは最高出力で190psを発揮するもので、KAMMの手によるエレクトリック・フューエル・インジェクションやスロットルボディ、カーボン製のカレラ・クーリング・キット、ステンレス製のエグゾーストシステムなどが組み合わされている。

トランスミッションは5速MT。ロードユース用のロングレンジ・ギアレシオと、サーキット用のクロスレシオが選択可能であるところも、いかにも趣味性の高いモデルといった印象だ。ギアシフトレバーとリンケージもKAMM製。デファレンシャルにはZF製のLSDが組み込まれている。

KAMMのエンジニアの仕事は、さらにシャシーやブレーキ、ホイール、タイヤといったパートにも続く。サスペンションは前後ともコイルオーバー式で、セッティングはキャビンのスイッチから5段階にそれを変更することができる。ブレーキはAPレーシング製のベンチレーテッドディスクと油圧式ハンドブレーキを持つもの。ホイールは3ピースのセンターロックで、サイズは17インチ径となる。

さて、ここまでこの912cの解説を続けると、気になるのはやはりその車重ということになるのは当然だ。これまでの912cは750kgという驚異的な軽量性を主張していたが、今回誕生したフルカーボン仕様のそれはじつに699kg。この数字だけでも走りの軽快さは十分に予想できる。オリジナルを忠実に再現しながら現代の最新技術で大きな性能面でのアドバンテージを得たKAMM 912c。これからますます大きな話題を呼びそうな1台である。

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