いまのうちに味わっておくべきV8テイスト
Dレンジに入れて走りだすと、即座に大トルクが立ち上がりV8の恩恵を感じる。低回転域で走っていると静粛性高くまるでラグジュアリーカーのように、そしてアクセルペダルに力を込めるとしっかりとV8サウンドが聞こえてきて、スポーティな雰囲気も味わえる。
現行型はラダーフレームをやめてモノコックボディを採用し4輪独立懸架となったこともあって、かつてのトラックのような乗り味は皆無。エアサスペンションの効果も絶大で、大きな段差を乗り越えたときのショックもうまくいなし、乗り心地はとても良好だ。そして独自のエレクトロニック・アクティブ・リア・ディファレンシャルにはヨー・コントローラーも採用されており、コーナーでも意外なほどにスポーティな走りをみせる。
悪路のシーン別に最適制御
今回の試乗で試すシーンはなかったが、ランドローバーの専売特許である走行モードシステム「テレインレスポンス2」が備わる。V8専用のセッティングとなっておりオンロードをはじめ「草地/砂利/雪」「泥/轍」「砂地」といった悪路のシーン別に最適制御してくれる。
またフロントとミラー内蔵のカメラ映像を合成してつくり出す「クリアサイトグラウンドビュー」は、通常はドライバーの死角となるボンネットをシースルーしたような映像をモニターに映し出してくれため路肩や段差、障害物の確認など、オフロードや市街地でもとても役に立つ。センターモニターにはこれ以外にも前後左右の傾斜角(スロープアシスト)やリアルタイムの駆動状況などを表示することも可能だ。
メルセデスAMG G63をみてもわかるように、本格オフローダー×V8エンジンの組み合わせには、クルマ好きをひきつけてやまない抗し難い魅力がある。しかし、その一方で自動車メーカーには電動化の波に抗うことは難しいという現実がある。ランドローバーも2030年までには完全な電動化という戦略を打ち出しており、こうしたV8エンジン搭載車に残された時間はそれほど長くないだろう。いまのうちに味わっておく価値は十分にある。