超ド派手なBMW E36 M3
東京オートサロンのトラストブースで異彩を放つBMW E36「M3」を発見。過激にワイドボディ化されたスタイルに加え、フロントバンパー越しに前置きインタークーラーをチラ見せ。さらにエンジンルームを覗くとタービンまでセット装着。この気になるクルマの正体はいかに……。
プロ集団が持てる力を結集して作った1台
毎年、様々な話題を提供してくれるトラスト。今年は国産車ばかりでなく、輸入車にも力を入れ、本気度満点なBMW E36 M3を展示していた。
詳しい話を聞いてみると、この車両はインポートカスタムショップとして有名なムーンテックがイギリス人カーデザイナーKyza氏とタッグを組んで計画したものとわかった。
まず、LTOという外装パーツを得意とする会社がボディキットを製作し、エンジンチューンについてはトラストがマネージメントを含めたすべてを担当。それぞれの得意分野で最高のパフォーマンスを発揮して完成させた渾身の1台ということだった。
総合プロデューサーであるムーンテックの新井さんはAMWの取材にこんな話をしてくれた。
「今回のE36M3製作については、ウチの呼びかけによって実現したものです。ベース車はムーテック所有ではなく、実はお客さんのクルマになります。今回の計画を話したら、快く車両を提供してくれたので、オーナーの期待を裏切らないクルマとして、また、ショーカーとしてレベルの高い1台を目指して完成させました。
それぞれのメーカーが専門分野で腕を振るってもらった中で、ムーンテックが担当したのは、車両製作全般になります。エアロパーツの取り付け、ペイント、内装パーツの張替えを含めたコーディネイト、そしてサスペンションチューニングを行いました。
このボディキット自体はイギリス本国に1台だけ色違いのモデルがありますが、日本では未発表で今回の東京オートサロンが初披露になります。ですから、ワールドモデルとして表現するなら、全世界でたったの2台しか存在しない希少車ということになりますね」
片側20センチのブリスターフェンダー!
カーデザイナーKyza氏によるアグレッシブなエッジの効いた造形は、DTMマシンを意識したデザインとのことだが、DTMカーの特徴はサイクルフェンダーであり、このM3ではブリスターフェンダーになっている。フロントとリアの造形はDTM風といえるので、フェンダーについてはオリジナリティあふれる造形と言えるだろう。
見るからにマッチョなスーパーワイドボディキットと呼ぶにふさわしいブリスターフェンダーの出幅は、最大で片側20cmを超えているという驚きだ。そして、どっしりと構えたスタイルを作り出すタイヤは315サイズでホイールは18インチ13.5J(オフセット-53)というから凄い。
気になっている方もいると思うが、一見ホイールはモデナっぽく見える。だがこれは、US鍛造ニュートレイルSCD3ピースホイールということ。リムがポリッシュ化されているところがポイントとのことだが、個人的には、E36が現役で走っていた頃を感じさせるホイールデザインがナイスだと感じる。
ボルトオンターボで大幅パワーアップ
E36 M3Cがベースとなっているので、3.2L 直6NAエンジンがオリジナルだ。そのパワーユニットに対して、エンジンチューンを得意とするトラストは大幅パワーアップを狙ってボルトオンターボ化を決行。専用EXマニホールドを製作しTD06-25Gタービンを装着できるように製作。さらに、ワンオフでサージタンクを含めたインテーク回りも作り直し、最大効率を求めるチューニングを施している。
内装も凝った作り込みがほど施されており、全体のイメージをボディカラーであるブリティッシュグリーンに合わせて、グリーンとベージュのアルカンターラ生地でコーディネイト。このアルカンターラだが、本来設定のない色だったため、専門業者にお願いし、カラーサンプルから生地を染めてもらって作ったそうだ。
また、レカロシートも同様に生地を張り替えて全体の統一性を持たせていた。
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各分野のプロフェッショナル達が集結し、それぞれが妥協しない本気のストリートカスタムを楽しむと、こんなにも素晴らしいクルマが完成するというお手本のような1台。
直感的にカッコイイと思える圧倒的なオーラを放っていたE36 M3。きっとキーをひねってエンジンをかけた瞬間の排気サウンドはシビレるに違いない。