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マセラティがV8エンジン生産終了! 「ギブリ」「レヴァンテ」「クアトロポルテ」のV8最終章を北イタリアの雪上で堪能しました

マセラティがV8エンジン生産終了! 「ギブリ」「レヴァンテ」「クアトロポルテ」のV8最終章を北イタリアの雪上で堪能しました

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TEXT: 西川 淳(NISHIKAWA Jun)  PHOTO: Maserati S.p.A.

力を溜め込んだパワートレインを手足で感じる

2023年の12月初め、クリスマスを前に北イタリアへ飛び、雪山に拓かれた特設の雪上コースにおいて(おそらく)最後のV8マセラティを堪能する機会を得た。試したのはクアトロポルテ トロフェオとギブリ トロフェオのFRセダンとレヴァンテ V8ウルティマだった。

最も楽しかったのはギブリだ。334ウルティマではなかったけれど、雪上でのドライブフィールは変わらないはず。個人的にもギブリ トロフェオは今のマセラティラインナップの中で最もホットなマシンだと思っている(MC20よりも!)。V8のパワーとサウンドを楽しみつつ、比較的コンパクトなボディを振り回す楽しみもこれが最後かと思うと愛おしい。

雪上で最もバランス良く操れたのはクアトロポルテだった。ホイールベースが長く、重量配分的にも微妙なコントロールが容易い。もっとも、それゆえついつい調子に乗ってコースアウトしてしまうことが多かったのもまたクアトロポルテではあった。

ギブリもクアトロポルテもV8を積んだトロフェオグレードはアクセルを踏み込んだときに右足裏を通じて感じる力強さ=エンジンの熱量が半端なく大きい。力をみっちり溜め込んだパワートレインを手足で感じることができるという点で、なくなってしまう運命に一抹の寂しさを覚える。次世代のサルーンはおそらく最新のグラントゥーリズモと同じパッケージになるのだろう……。

そんな複雑な心境を察してくれたのか、マセラティのスタッフが新型グラントゥーリズモでも同じコースを走ってみろと言ってくれた。こちらはV6ツインターボの4WDである。駆動方式の違いもあって、同じコースを最も簡単に、しかも素早く走ってくれた。滑りやすい路面でもコントロールしやすく、不安がない。最新モデルの実力というものであろう。

特設コースから宿泊するホテルまで、前が見えないくらいに吹雪く山道をレヴァンテ V8ウルティマでドライブした。レヴァンテもまたV8を積んだトロフェオが最もマセラティらしいと思う。背が高いだけのGTとして、特にハンドリングの素直さが嬉しい。道路状況がコロコロと変わる中、安心して操縦を楽しむ。V8エンジンの静かな歌声をしみじみと聴きつつ、これで本当に最後かと感傷的になってしまった。

そのラストモデル、V8ウルティマは限定台数こそ多いけれどおそらくギブリよりも世界的には人気があるだろう。欲しい方はお早めに!

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